2007/10/23

老子道徳経

神を呪っていた大学浪人時代にGKチェスタトンの著作でキリスト教を知り、今度は一転して熱烈なキリスト教徒となった僕はより良いクリスチャンになろうと努力した。
でもその努力を続けているうちに、僕の愛はどんどんぎこちないものになり、ついに行き詰まってしまった。
熱心に愛そうと努力すればするほど、僕は不自然にしか人を愛せなくなっていた。

キリスト教に出会って、13年が経過していた。
留学中にアメリカの本屋で見つけた小さな本。
その中の一節。

Open your heart.
Then trust your natural responses.

それは老子の言葉だった。
凍っていた僕の心に、やわらかな春の光が降り注いだ。
僕の肩から力が抜けた。
そして僕はふかぶかと息をした。

やれやれ、アメリカ人から東洋の心を教えてもらおうとは。
ほどなく僕は留学する前に何故かどうしても欲しくて買った陶器の置物が、奇しくも老子の青い牛であったことを知った。





0 件のコメント:

コメントを投稿

twitter