2010/04/29

アフォリズム




吸引細胞診の勉強で1992年に渡米した時、大学の生協でこの本を見つけた。
これは医師が守るべきルールを集めた小さな本である。
編者が医師としての短かからぬ経歴の中で少しずつ拾い集めた425の箴言が記載されている。

僕自身はこの本から多くを学んだ。
研修委員長をしていた頃はレジデントが修練期間を終える時に1本のワインにこの本を付けてプレゼントしたりした。

いずれこのブログで取り上げたいと思っていたが、日本ではすでに翻訳本が市場にあるため、僕が勝手に訳してブログに掲載すると著作権法に違反する可能性もあるだろう。

ただこういったアフォリズムは編者も述べているとおり、誰がその箴言を思いついたかよりも、無名の医師が口にし、その有用性によって人口に膾炙していくことによって命脈を保っていくものだから、その職務に従事するものにとっての共通の財産と考えるべきだろう。

あからさまに著作権に抵触しないよう、一回に一文だけを取り上げていきたいと思う。
またここに取り上げる箴言は網羅的ではなくかつ逐次的でもない。
その記念すべき一回目に取り上げる箴言は、

Sit down when you talk with patients.

中学で習う単語ばかりで出来た短い一文。
「患者と話をする時には、座りなさい」

この一文を読んだだけで、ざわついていた心のおりが底に沈んで、
僕の心はしーんとする。

立ったまま患者と話をしてはならない。
通りすがりに患者と話をしてはならない。
立ち去りながら患者に話をしてはならない。

つまり、そういうことだ。






2 件のコメント:

  1. 患者の立場から

    「ありがとうございます」

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  2. yuukoさんありがとうございます。
    その通り実行している医師に箴言は不要です。
    実行していないものにとってのみ、それは箴言として意味を持ちます。
    僕がここに取り上げる言葉達は、僕が守っていないから箴言なのです。
    それは僕自身に対し一本一本釘を刺していく行為に似ています。
    皆さん僕をあまり立派な医者だと思わないで下さい。
    会ったらがっかりされると思います(笑)。

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