2014/03/07

サットンの法則


Frederick Southwick氏の感染症診療スタンダードマニュアルには熱の原因がはっきりしない患者にやたらと意味のない検査をするよりも詳細な病歴と身体所見で検査を絞り込むことの大切さが述べてあって
そこに「サットンの法則」というのが出てくる。

アメリカの有名な銀行強盗ウィリー・サットン。
逮捕された彼はなぜ銀行強盗をするのかと聞かれ
「そこにカネがあるから」と答えたそうで、要するにどうせ強盗するなら個人の家よりたんまりカネのある銀行がいいと。それでアメリカの医学教育では「一番可能性の高い疾患を想定して検査すべし」
という意味でこの法則が語り継がれているらしい。

この「ウィリー・サットン」氏、英語版のWikipediaをみると掲載された顔写真は盗む方というよりむしろ盗まれる方の銀行の頭取という風体だ。彼は1901年に生まれ1980年に79歳で他界するまでに総計200万ドルを強奪。成人してからの人生の半分を刑務所で暮らし、脱獄に成功すること3回。変装の名人で、銀行に入るときはピストルやサブマシンガンを携帯していたが弾は入っておらず生涯一度も人を殺めなかったという。そのサットン氏が自らの名前を冠した法則について自伝の中でこう言っている。

「銀行強盗の言葉が医学教育の現場で珍重されるなどという皮肉がいったいどんな経緯でそうなったのか知る由もないが私自身としてはそんなことは言っていないということをここではっきりと述べておきたい。風評の元になった記事を書いた件のゴシップ系のリポーターは自分の記事をもっともらしくしようと思って付け足したのだろう。尋ねられたら私もそんな風に答えただろうしそれはだれでも思いつきそうなことだ。だから彼はそう書いたわけでそれ以外に大した理由はないと思う。
なぜ私が銀行強盗を繰り返したかといえば、それは楽しかったからだ。愛していたと言ってもいい。銀行に押し入ってカネを奪う。その時私は人生のほかのどんな時よりも自分が生きていることを実感した。それに関するすべてを私はかけがえなく愛していたし、だからこそ1,2週間もすればもう次の獲物を探しに出かけた。カネはチップのようなものでそれ以上の意味は無い。だから私はカネのあるところへ行ったのだ、何度でも」



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