2014/11/28

侘び寂び試論


日本固有の美意識としてよく取り上げられるキーワードが「わび・さび」。
何となく感覚として理解しているつもりでも、じゃあワビって何?サビって何?
そしてワビとサビはどう違うのか改めて考えるとよくわからない。
わからないままにしておいてもいいけれど掘り下げると面白そうなテーマなので整理してみました。

侘(わ)び
侘びという言葉を辞書で調べてみると、質素、簡素、粗末、不如意(思い通りにならないこと)、みすぼらしさ、わびしさなどの説明に行き当たります。
この言葉は元来ものが不足していたり不体裁なために気持ちが萎(な)えてしょんぼりする気持ちを表していたらしいのですが、時代を経るにしたがって禅宗や茶道、俳諧などの影響でむしろポジティブな意味に変化していったようです。
ひとは豪華で豊潤なものに接すると心が満たされる感じを覚えますが、むしろみすぼらしいものに接してしょんぼりする自分の心を面白がるスタイルがこの言葉にはあるようです。

寂(さ)び
侘びという言葉を調べてみると、寂しさ、静寂、古いこと、枯れていること、もの静かで落ち着いた奥ゆかしい風情などといった説明に行き当たります。
つまりこの言葉は本来「時間の経過によって劣化した様子」を意味していたらしいのですが、侘びと同じくこの言葉も時代を経るにつれてポジティブな意味を帯びていきます。
ひとは若々しく活発でエネルギッシュなものに接すると元気が出て気持ちが高揚するものですが、その反対に古くて活性の低いもの、停止していて静かなものに触れて心のざわめきが収まることに価値を見出すというのが寂びの立場のようです。

これらをさらに言い換えると
侘びとは物質的欠乏に共感する言葉
寂びとは活性的欠乏に共感する言葉
というふうにまとめることが出来るかもしれません。

さて、これら二つの言葉は共に不足、欠損、障害、老朽、不活性といった、いわば反生命的なものにわざわざ価値を見出すという天邪鬼な性質を持っています。
ここで反生命的と書いたのは、私たちが生命と聞いてイメージするところの、伸びる、満ちる、輝く、十全に機能する、若くて活発ということに対し、縮む、枯れる、くすむ、歪んで機能不全に陥る、老いて活性が低下するという方に価値を置いているように思えるからです。

生命に対する反生命。テーゼに対するアンチテーゼ。
そしてそこにはそこはかとないユーモアも感じられます。
当事者にとっては悲惨でも第三者の、いわば無責任な視点を自らの内に導入することで意味の相対化と逆転をもたらすという、これは赤瀬川原平さんの老人力(エイジングを面白がる気持ち)と似ています。

ワビ・サビというと古臭いイメージですが、実は既存の価値観をひっくり返す生き生きとしたダイナミズムがこれらの言葉の裏にありそうです。
とても革命的でモダンな言葉。

2 件のコメント:

  1. xxxdogg11/28/2014

    侘び寂び・・・道楽者の言い訳。。。

    表現すればするほど、ダサくなる。。。

    【詫び・錆び】

    そうも取れる気がする、44歳の私です。。。

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  2. xxxdoggさんありがとうございます。
    表現を我慢できない私です^^。

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