2009/08/10
ノア
地に悪が満ち溢れ、神は悲しみ、後悔された。
ただノアだけは義なる人であり、神の目に良いものとされた。
ノアは神に言われるとおり何十年もかけて箱舟を作り
他の人々はそれを笑った。
定められた時がくると、ノアとその家族、あらゆる動物の雄と雌が船に入り、その戸は神が閉じられた。
そして大洪水がおこり、高い山も隠れるほどになり全てのものは滅んだ。
また長い月日がたち、地の水がすべてひけ、ノアは船から出た。
神は言われる。「子を産んで、地に満ちよ。」
「すべての肉なるものが大洪水によって断たれることはない。
もはや大洪水が起きて地を滅ぼすことはない」
続けて「私が地の上に雲を起こすと、虹が現れるようになる。
それが現れると私は必ずそれを見て、この契約を思い出すであろう」
とかげさんのブログに載っていた創世記のノアの箱船の箇所です。
ああ、これを映画で見てみたい。
汚濁に満ち退廃した世界のディテール。
正しき人ノアの日常。
箱船の建造を指示する神。
当惑するノア。船など造ったこともないのに。
ひつこく食い下がって船大工に船の建造方法を学ぶノア。
夜遅くまで苦労して箱船の設計図を書くノア。
どれくらいの大きさが必要なのだろう。
船客の人数をもとに計算しているノア。
多量の材木を、どのようにして手に入れよう。木材購入の交渉をするノア。
多量の木材の運搬。
一人で木材を加工するノア。
一人で黙々と組み立て始めるノア。
不安げに見つめるノアの家族。
作っている最中にも、様々なアイデアが浮かんでは消える。
ここに天窓を作ろう!この階段はここにつなげたほうがよくはないか。水の侵入はどのように防ごう。防水加工? 木材の表面に松ヤニを塗ることを思いつくノア。
建築中に落下してきたマストで頭部を強打し大けがをするノア。
徐々に回復し、再びノミを手にするノア。
淡々と夫の手伝いをする妻。
「私はね、洪水なんて、来ないと思ってるんですよ。
でもいいんです。彼が仕事してるのを見るのが好きなんです。」
やがて天候が徐々に妖しくなってくる。
それを気にする様子もなく黙々と仕事を続けるノア。
酒場で笑いながら洪水の噂をあざ笑う人々。その窓を激しく打つ雨。
徐々に水位の上がる川岸。
渚が日ごとに陸をはい上がってくる様子を不思議そうに見つめる老いた漁師。
雨が降り注ぎ、昼間も夜のように暗い。恐ろしげに轟き渡る雷鳴。
水位はみるみる上昇速度を増し、そしてある日ノアは暗い空を見つめ、カンテラを高く捧げ持ち、乗船を指示するのだ。
その瞬間完成した箱船の全貌があらわになる。
緩やかな丘の上に立つ巨大な箱船。
緩やかな上り坂。恐ろしげな雲が高速で移動する空。青黒い夕闇を背景に、荷物を背負って坂を登っていく家族達。お互い顔を見合わせてる。背筋がゾッとする。一番幼い男の子が言う。
「ほんとだったんだ」
どこから来るのか、続々と集まってくる動物たち。
動物たちの乗船は3日3晩続く。見たことのある動物、見たこともない動物。群れ、群れ、群れ。
船の入り口で動物達の種類を確認し、ペンで記録し、お尻に焼き印を圧して乗船させていくノア。
噂を聞いて、自分たちも船に乗せてくれと、集まってくる群衆。
口々に嘆いたり、ののしったりしながら乗船の許可を嘆願する群衆。
ノアはその頃大混乱になっている動物達の誘導で船内を走り回っている。
彼は外で群衆が暴動を起こし始めていることに気が付かない。
跳ね橋のような船の入り口に殺到する人々。屈強な荒くれ男達が大勢丸太を抱えて門に突進する。手に手に農具を持って門を打ち壊そうとする人々。船内で怯えるノアの家族。泣き叫ぶ赤子。
やがて天が裂けて、スポットライトのように跳ね橋のところだけが明るくなり、ゆっくりと跳ね橋が上がっていく。驚愕する人々。跳ね橋にしがみつく人々。船の下に満ち始めた水に、次々と落下していく人々。
ほどなく水位は船縁にまで達し、船縁を超えて水が船内に入ってこようとしたとき、ようやく甲板に姿を現したノアは渾身の力を込めて船を陸地につなぎ止めていた太いロープを斧で断ち切る。
ゆっくりと浮かび上がる巨大な箱船。
はるか遠方に水没していくオリンポス山。
航海が始まる。
延々と続く航海の日々。
経過する年月。疲弊する家族。
食糧問題。動物達の反乱。疫病の発生。船内をかけずり回るノア。
陸地探索のため鳩を放すノア。
やがて陸地が見つからず戻ってくる鳩。
がっかりするノア。
そしてある日鳩が戻ってこないことにぬか喜びするノア。きっとこの近くに地上があるのだ!だがやがて戻ってくる鳩。がっかりするノア。
だが鳩の口には、しっかりとオリーブの枝がくわえられている。
驚喜するノアとその家族達。
陸地が見え始める。
船が陸地に着く。
船から降りるノアと家族。
続々と船から降りてくる動物達。
新しい日々。増えていく人々、増えていく動物達。
神の声。
虹。
配役は?
日本ならノア役は高倉健か北野武?
でもこれは洋画だしな~。
shinさん、すごい!
返信削除にやにやしながら読ませてもらいましたが、真顔で頷く箇所もありました。
妄想力は私と互角ですな。(←偉そう)
読みながら場面が目の前に広がり、ウットリしました。
洋画だしね~
頭髪がさみしい感じのニコラス・ケイジあたりでどうでしょうか?
とかげさん、お断りなくお借りしました。ごめんね。
返信削除ニコラス・ケイジ。いいですね!
じゃあ日本のニコラス・ケイジ西村雅彦で行きましょう。
今テレビで「花田少年史」を見たとこなので。(^_^)。
ノアの箱舟 映画で見たことあるよね とyuukoさんに聞くと ある との返事
返信削除ナンだったっけとさらに聞くと えーー天地創造との答え
おーそーだったかと探してみるとありました
http://www.youtube.com/watch?v=eHVmXBG-kIU
とーし
あ ノアはジョン。ヒューストンです
返信削除いい配役だぁ
とーし
>とーしさん。
返信削除聖書の記述はたった12行だけど、叙事詩的な記述がとてもスペクタクルな妄想を呼び起こします。
そーかー。すでに映画化されていたんですね。
知らなかった。
久方ぶりのyamでございます。
返信削除ノアの箱船をはじめて日曜学校できいた時はノアがいい人だから神様に選ばれたんだなァなんて単純に考えてましたよ。
動物たちも一種類一組のカップルで子孫が途絶えたいように乗り込んだけど
象のことを考えるとノアが一人で造った船は相当でかいぞ!と子供ながらに妄想しておりました。
中学生くらいになると、なんかみんな言う事きかないし、テンデンバラバラ好き勝手なことばっかして!一回チャラね!みたいにした神様って…。神様の堪忍袋の緒が切れたんだなぁ、神様って人間っぽいなぁ。なんて考えてた記憶があります。
私は鳩がオリーブの枝をくわえて戻ってきたと言うところで、子供心に安堵の深いため息をついたものです。あれが人生初の安堵のため息だったと思います。
何年か前にアクセサリーショップでオリーブの枝をくわえた鳩のピンブローチを発見!ちょっとお値段のはるブローチを衝動買いし、母へのクリスマスプレゼントにしたことがあります。母もこの鳩のシーンが好きみたいでとても気に入ってくれました。
なんだか世間が騒然としている昨今、自然災害も重なって
なんとなくノアの箱船のことが頭をよぎっていた矢先のshinさんのこの記事。
ちょっとしたシンパシーでしょうかね?
>yamさん。
返信削除ノアが陸地を探すのに鳩を使ったことまでは覚えていましたが、でも鳩がくわえてきたのが何の枝だったのかまでは覚えてなかったんです。オリーブでよかったんですね。よかった。
旧約聖書の神様って短気ですよね。ソドムとゴモラを焼き払ったり、世界中を大洪水にしたり、バベルの塔を破壊して人々の共通語を奪ったり。こう書いているうちに可笑しくなって笑ってしまいました。
やりたい放題です。
ま、神様ですから(笑)。