2014/03/30
2014/03/28
2014/03/27
USE IT OR LOSE IT
医療の世界には「廃用症候群」という言葉がある。
家族の助けで何とか自立していた高齢者が誤嚥性肺炎などをきっかけに入院すると、絶食と安静のために身体各種の能力が低下して自立できなくなってしまう。
動かないことで筋力が低下し、筋肉を制御する脳の働きも低下する。
食べ物を飲み込む嚥下反射や嚥下のための筋力も低下し食事が食べられなくなる。
病院という、言葉の通じないジャングルのなかで患者は新たなコミュニケーションを構築することができずに認知能力を失っていく。
可動性を失った精神と肉体はやがて空間と時間を泳ぎ抜く力を失って生者の群れから脱落していく。
もちろんそうならないように医師だけでなく看護師、理学療法士、言語療法士、作業療法士、栄養士、ケースワーカー達は患者が生者の世界に踏み止まれるように入院の早い段階からチームとして介入するが、point of no returnを超えた患者を呼び戻すのは容易ではない。
以前は失われた身体能力をサポートするために人工呼吸器につないだり胃瘻を作って栄養を投与したりしたが、それも最低限の生命維持能力しかサポート出来ない。
言葉を交換し、愛を交換し、財貨サービスを交換するのが人間なら、みずからそのような人間の定義から外れてしまったらこの生者の世界を潔く去りたいとして生命維持のサポートを望まない人々が最近非常に増えてきた。
もちろん人間であることの定義や考え方は様々だが少なくとも総体としての社会的コンセンサスはこの2~3年で急激にシフトしたというのが現場の印象だ。
で、この重いテーマは前振りで実は本題はクルマの話。
昨日WIREDにAudiの新しい自動運転システムの記事が載っていた。
例えば買い物帰りに自宅から呼び出したクルマが何もしなくても主人を自宅まで送り届けてくれて、それはつまり進化した車載モバイルプロセッサーがお抱え運転手を務めてくれるようになるということなのだが、この記事を読んだ時のなんだか笑ってしまうような感じはどこから来るのか。
使わない機能は失われる。
その失われた機能をサポートするために優れた機能が投下され、それによってさらに機能が失われていく。
いや、別にいいんだと。クルマは移動のための道具にすぎないんだから。
しかし高性能の人工呼吸器のおかげで自分で息をしなくてすむようになって、寝たきりのあなたはその自由を何に使うのだろう。
家族の助けで何とか自立していた高齢者が誤嚥性肺炎などをきっかけに入院すると、絶食と安静のために身体各種の能力が低下して自立できなくなってしまう。
動かないことで筋力が低下し、筋肉を制御する脳の働きも低下する。
食べ物を飲み込む嚥下反射や嚥下のための筋力も低下し食事が食べられなくなる。
病院という、言葉の通じないジャングルのなかで患者は新たなコミュニケーションを構築することができずに認知能力を失っていく。
可動性を失った精神と肉体はやがて空間と時間を泳ぎ抜く力を失って生者の群れから脱落していく。
もちろんそうならないように医師だけでなく看護師、理学療法士、言語療法士、作業療法士、栄養士、ケースワーカー達は患者が生者の世界に踏み止まれるように入院の早い段階からチームとして介入するが、point of no returnを超えた患者を呼び戻すのは容易ではない。
以前は失われた身体能力をサポートするために人工呼吸器につないだり胃瘻を作って栄養を投与したりしたが、それも最低限の生命維持能力しかサポート出来ない。
言葉を交換し、愛を交換し、財貨サービスを交換するのが人間なら、みずからそのような人間の定義から外れてしまったらこの生者の世界を潔く去りたいとして生命維持のサポートを望まない人々が最近非常に増えてきた。
もちろん人間であることの定義や考え方は様々だが少なくとも総体としての社会的コンセンサスはこの2~3年で急激にシフトしたというのが現場の印象だ。
で、この重いテーマは前振りで実は本題はクルマの話。
昨日WIREDにAudiの新しい自動運転システムの記事が載っていた。
例えば買い物帰りに自宅から呼び出したクルマが何もしなくても主人を自宅まで送り届けてくれて、それはつまり進化した車載モバイルプロセッサーがお抱え運転手を務めてくれるようになるということなのだが、この記事を読んだ時のなんだか笑ってしまうような感じはどこから来るのか。
使わない機能は失われる。
その失われた機能をサポートするために優れた機能が投下され、それによってさらに機能が失われていく。
いや、別にいいんだと。クルマは移動のための道具にすぎないんだから。
しかし高性能の人工呼吸器のおかげで自分で息をしなくてすむようになって、寝たきりのあなたはその自由を何に使うのだろう。
2014/03/24
to be happy
僕が中学生の時は高校受験のため深夜までラジオを聴きながら勉強した。
当時はテレビは言うに及ばずラジオも真空管で
父親が職場の同僚からもらってきた古いラジオは
うしろのパネルがなかったので中が丸見えだった。
薄汚れたラジオは電源を入れてしばらくすると
真空管が熱くなって電気の焼ける臭いがした。
20年前から使っているオンキョーのA922というアンプの調子が悪い。
そろそろ新しいのが欲しくなってこの三連休はどこにも行かずにネットでいろいろ調べていた。
今使っているアンプは普通に音が出ていたし何も困ってはいなかったけれど
以前はあれだけ好きだった音楽が永く聴けなくなってしまったのは
歳をとったせいかもしれないがそれだけではないような気もする。
真空管アンプというものがあることは知っている。暖かい音がするらしい。
僕は元来買い物が下手で、着るものを買いに行くとすぐに根(コン)がなくなって
もうなんでもいいやと適当なものを買ってあとで後悔する。
店員さんの口車に乗せられやすいのは彼らの口上がむしろ救いの船だからで
それは僕がその場から早く逃れたいからだ。
視聴に行ったらまたいつものように舞い上がって
冷静な判断もできないまま真空管アンプを買ってあとで後悔するにきまっている。
そうしたらたまたまネットで
アナログとデジタルと真空管のアンプを聴き比べているのをみつけた。
聴き比べるったって、最後はどれもPC経由で聴くんだから
どれほどの意味があるんだろうかと思いながら目をつむって音だけを頼りに聴いてみたら
ボーカル編、ヴィブラフォン編、サックス編、ピアノ編、ストリングス編、オーケストラ編のすべてで
どれがアナログでどれがデジタルでどれが真空管かが全部正解してしまった。
多分それはまぐれだけど、ただ6つのジャンルのほとんどで
自分の好きな音は真空管だったということは、疑いようもなくはっきりした。
それで決心がついた。
三連休の殆ど、夜も午前3時までネットであれこれ調べて
価格や音の特徴や拡張性や評判や見た目などで選んだのが
トライオード社のTRV-35SE。それといっしょにDENONのSACDプレーヤーのDCD-1500RESPも購入。
これがベストではないかもしれないけれど僕自身はうん、とても気に入りました。
このアンプは真空管としての特徴が薄くてトランジスタアンプに近いらしいけど
高音・中音・低音のバランスが良くて、期待したとおり聴き疲れないwarm heartedな音がします。
熱くなった真空管に顔を近づけると中学生の時に嗅いだ、あの電気の焼ける匂いがする。
音楽に込められたたくさんの音に、以前は気が付かなかった。
それはCDプレーヤーが新しくなったことも関係しているかもしれないけれど
なんだか僕はちょっと、幸せな気分になってしまった。
2014/03/19
mono focusとmulti focusの、視点を誘導するポテンシャルを意識化する
mono focusは空間内の合焦している一平面へ鑑賞者の視点を強制誘導する。
multi-focusはmono-focusよりも広い範囲にわたって精緻に合焦しているにもかかわらず
そこに見える景色は視点を誘導する強制力が弱いので
鑑賞者はその空間内で視点を自由に逍遥させることが出来る。
mono focusがテレビ的とすればmulti focusは景色的と言ってよいかもしれない。
マクロ写真はもともと鑑賞者の視点を小さな対象物に強制誘導するモードなので
それを景色的にする意味はあまりないが、浅すぎる被写界深度を深くして
対象全体に合焦させることができれば、より対象の世界に没入することが出来る。
2014/03/17
2014/03/16
2014/03/15
被写界深度の合成
以前Sigma DP1やOlympus E-P2でマクロを撮っていた時は気にならなかったんですが
フルサイズで撮るようになってから出来上がりがどうも気に入らない。
被写界深度が紙一枚なので、極端な場合雌しべ1本を残して
ほかは全部ぼけているというようなことがおこる。
じゃあ絞ればいいじゃないか。
でも絞ると光量が足りずISOを上げて画像が荒くなったり
長時間露光のあいだに対象が風で動いたり
対象全体に焦点を合わそうとすると小絞りボケになったり彩度が落ちたり。
対象の手前から奥までピントを合わせるには
ティルト機構のあるレンズを手に入れるという方法があります。
ニコンだったらPC-Eシリーズ。
Yodobashiの作例の、絵馬の赤い紐が、手前から奥までピントが合っているのをぼんやり眺めていると
このレンズさえあればフォーカスを自由にコントロールできるという期待に胸が膨らみます。でも20万円もする。
ケンコーからレンズベビーティルトトランスフォーマーというのが出ていて、ニコンレンズをマイクロフォーサーズに装着してティルトが出来る。
しかもPC-Eレンズの10分の1の価格で。
2ヶ月ほどぼんやりそんなことを考えていたある日、たまたまFlickrですごい写真をみつけた。
ここまで接近しているのにキノコのすべてに合焦している。まるで走査電子顕微鏡写真を見ているみたいだ。
説明を見ると"Four photos focus stack by CombineZM"とある。
どうも4枚の写真をCombineZMというソフトで合成したらしい。
それでそのCombineZMというのを調べてみると、少しずつピントをずらして撮った複数の写真をうまく合成してくれるフリーソフトらしい。
こちらの方がこのソフトの使い方を丁寧に説明しておられた。
で、僕もやってみたんだけど、大きいサイズの写真だとソフトがハングしてしまったり
サイズを小さくしてやると、合成後の写真にうねうねした横線が入ってしまって、僕の場合はうまくいかなかった。多分何か使い方に問題があるんだろう。
で、あきらめて放置していたらフォトショップで被写界深度の合成が出来るという記事をみつけた。
Photoshop CS4以降にそういう機能が搭載されていたらしい。で、これがすごく簡単に、しかもきれいに合成できる。
こういう被写界深度の合成はFocus Stackingというらしい。Flickrでこのタグを検索するとみんなやってる、やってる!
PC-Eレンズに対するあこがれは消えていないけど、とりあえずこれでいいかもしれない。
↑こちらはワンフォーカスの写真。
トップの写真は7枚を合成したもので花だけでなく葉っぱまでピントが合っていますが、この写真の合焦はごく一部です。
ひょっとするとこちらのほうが自然でいい写真かもしれない。
でもいいんです。いろいろやってみずにいられない性分だから。
2014/03/14
パイロットのダウンフォース
久しぶりの文具ネタです。
万年筆もそうだけどボールペンもたっぷりインクが出るのが好きです。
気持よくヌラヌラ書けることが大切。
いろんなボールペンを試してきましたが最終的に行き着いたのがこれ。
パイロットのダウンフォース。
このペンの面白いところはノックするとインクに空気圧がかかるという仕組み。
むかし宇宙ペンというのがありましたが、これも宇宙ペンのように上向きでも書けます。
さらにこのペンはなんとジェットストリームのリフィル(SXR-89)がそのまま使えるんです。
ただでさえスムーズなのにジェットストリームのインクが使えると無敵!
僕は1mmの芯を使っていますが7mmや5mmのリフィルも使えると思います(未確認)。
気に入ってホワイトも2本買ってしまいました。
2014/03/08
2014/03/07
サットンの法則
Frederick Southwick氏の感染症診療スタンダードマニュアルには熱の原因がはっきりしない患者にやたらと意味のない検査をするよりも詳細な病歴と身体所見で検査を絞り込むことの大切さが述べてあって
そこに「サットンの法則」というのが出てくる。
アメリカの有名な銀行強盗ウィリー・サットン。
逮捕された彼はなぜ銀行強盗をするのかと聞かれ
「そこにカネがあるから」と答えたそうで、要するにどうせ強盗するなら個人の家よりたんまりカネのある銀行がいいと。それでアメリカの医学教育では「一番可能性の高い疾患を想定して検査すべし」
という意味でこの法則が語り継がれているらしい。
この「ウィリー・サットン」氏、英語版のWikipediaをみると掲載された顔写真は盗む方というよりむしろ盗まれる方の銀行の頭取という風体だ。彼は1901年に生まれ1980年に79歳で他界するまでに総計200万ドルを強奪。成人してからの人生の半分を刑務所で暮らし、脱獄に成功すること3回。変装の名人で、銀行に入るときはピストルやサブマシンガンを携帯していたが弾は入っておらず生涯一度も人を殺めなかったという。そのサットン氏が自らの名前を冠した法則について自伝の中でこう言っている。
「銀行強盗の言葉が医学教育の現場で珍重されるなどという皮肉がいったいどんな経緯でそうなったのか知る由もないが私自身としてはそんなことは言っていないということをここではっきりと述べておきたい。風評の元になった記事を書いた件のゴシップ系のリポーターは自分の記事をもっともらしくしようと思って付け足したのだろう。尋ねられたら私もそんな風に答えただろうしそれはだれでも思いつきそうなことだ。だから彼はそう書いたわけでそれ以外に大した理由はないと思う。
なぜ私が銀行強盗を繰り返したかといえば、それは楽しかったからだ。愛していたと言ってもいい。銀行に押し入ってカネを奪う。その時私は人生のほかのどんな時よりも自分が生きていることを実感した。それに関するすべてを私はかけがえなく愛していたし、だからこそ1,2週間もすればもう次の獲物を探しに出かけた。カネはチップのようなものでそれ以上の意味は無い。だから私はカネのあるところへ行ったのだ、何度でも」
2014/03/02
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