2022/01/09

Meopta Meostigmat 70mm f1.4


#297
Fuji GFX50S Meopta Meostigmat 70mm F1.4








たまたまネットでCarl Zeiss Jena Biotar 75 mm F1.5リンクというレンズの作例に出くわしてその写りに心奪われたがとても高くて手が出ない。ところがこれと全くレンズ構成が同じものを2種類見つけた。そのひとつは以前僕が所有していたロシアレンズのHelios 40-2でもうひとつがMeostigmat 70mm F1.4というレンズリンク
これはチェコスロバキアのMeopta Meoclub 16という16mmフィルム映写機用のもので、この映写機が1968~1984年頃まで?製造されていたことからすると半世紀ほど前のものと思われる。
このレンズの特徴についてはInstagramのpraguelenshunter(プラハのレンズハンター)というひとがうまく要約してくれている(リンク)のでそれを訳して記載する。

Meopta Meostigmat 70mm f1.4・・・私にとってこれはプロジェクターレンズの王様であり、ポートレート撮影や精密描写撮影するための最高のレンズの一つだ。これは16ミリ映写機用にデザインされている。伝説のBiotar 75/1.5と同じレンズ構成だが若干短く口径は1.4で、さらにより現代的なコーティングが施されているからBiotarよりもコントラストはずっと高い。Meostigmatの中央描写はsuper sharpで時に私はこのレンズの弩級の解像度に度肝を抜かれる。辺縁は使い物にならないがこの手のレンズではありがちだ。辺縁をもう少し解像させたくても絞り羽根がないから無理だ。色表現は素晴らしい。特に私はこのレンズのボケが大好きだ。この点についてはBiotarより優れているとは言い難いが。このレンズには特定の撮影距離で幾分グルグルボケがみられるが、Biotarほどは玉ボケの輪郭が明瞭ではないので背景のボケの拡散効果は弱い(ここはちょっと意味不明)。ある状況下ではより優れているが別の状況では劣っている。
このレンズはただのガラスの入ったアルミのパイプなのでカメラに装着するにはアダプターが必要となる。3Dプリントで制作するか、近距離用のヘリコイドをeBayで購入するか手頃な旋盤を使って制作する必要がある。
私は最近までこのレンズをウェディングやポートレートセッションなどポートレート用のメインレンズとして使っていた。このレンズの表現様式は非常に特徴的で、ごくありふれた被写体をなにか特別に美しく変化させてみせてくれる。
このレンズを手に入れて使えるようにしたくなる一番のポイントはその価格だ。数年前私は一つ10ユーロかそこら(1,300円位!)で手に入れることができた。今では400-600ユーロが当たり前になってしまったがそれも当然と言えるだろう(彼がこれを書いたのは2019年2月)。これはユニークなレンズだ。宝石だ。左にスワイプすれば私の撮ったサンプルポートレートを見ることができる。すべてSony A7xかA9で(当然だが)開放1.4で撮影した。

僕は結局この写真(リンク)に心を射抜かれてGFX用に改造したものをeBayで$999で購入(セラーのリンク)したがこれが相場かどうかはわからない。自分で改造できるなら素のレンズを安く手に入れるほうが賢明かもしれない。
最近僕はポートレートを撮り始めたのでこのレンズを買ったのはそのためもあるが、無限遠からレンズ前15cmまでピントが合うのでマクロっぽくも使える。プラハのレンズハンターさんは絶賛だが実際に自分のイメージ通りに仕上げるには明度やコントラストや色のバランスを調整する必要がある。とはいえこれは今僕にとって一番心躍るレンズであることは間違いない。合焦部が思いのほかシャープで色乗りがよく、かつボケがユニークなのでいろいろいじり甲斐のある画像が撮れる。レフ板を使った室内の逆光のポートレートなんかにはもってこいではないだろうか。

後日(2022/2/2)追記:
ボケに関してはMinolta Rokkor MC 58mm F1.2とそっくりなことに気が付いた。色乗りもRokkorの方が良い。ただマクロを撮る場合はRokkorはクローズアップレンズが必要だがMeostigmatはそのままマクロでも使えるのが利点かもしれない。



3 件のコメント:

  1. 訳まで載せるとは力が入っていますね! ここでレンズハンターという言葉を初めて知りました。昔プラントハンターの小説を読んだ記憶がありますが
    レンズハンターがいるとは。ビオラの画角が好きですね。グルグルが少ないので(笑)。

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    1. ありがとうございます。実は以前は自分が見つけたものを紹介することに大きな喜びを感じていたんですが、最近はまぁ何に興味を持つかはひとそれぞれだし、自分が面白いと感じたら自分だけホクホク喜んでいればもうそれでいいんじゃないか、わざわざ紹介しなくてもという気持ちに傾いてきています。教えるのは好きなので頼まれれば大喜びで解説したりもするんですが(笑)。ただ翻訳という行為は昔から好きなので訳し始めるとクイズを解いているような面白さについハマってしまって、レンズハンターさんの文章もほんの要約だけにしようと思って始めたのに結局全部訳してしまいました(笑)。
      プラントハンターという職種があるんですね。漢方の起源となった神農さんみたいだ。

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    2. プラントハンターは中国の茶の木を東インド会社に密かに持ち帰った話だったと思います。

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