当直明けのぼんやりした頭で帰宅したらモスクワから小包が届いていました。
中身はヘリオス40-2というロシアのレンズです。
僕は最近
Florence richeratauxさんというフランスの女性写真家の作品世界にぞっこんで
彼女を通じてトリオプランというレンズの存在を知ったわけですが、このHelios 40も彼女が時々使っているレンズです。
Flickrには彼女のも含めて
沢山の写真がアップされており、それらを見ていてとても欲しくなり購入しました。
米国アマゾンでは5万円台ですが
eBayではロシアの会社から4万円台で手に入れることが出来ます。
とはいうものの僕もロシアのレンズを買うのは初めてですし、そもそもヘリオス40-2ってどういうレンズなのか。
ネットではヘリオス44というレンズのほうが有名みたいで、いつもお世話になっている
M42マウントスパイラルさんのサイトでも44の記事を読むことが出来ます。
アメリカのウィキペディアのヘリオスに関する記載や、そこからのリンクをたどると
このヘリオスというのはロシアの
S・A・ズヴェーレフ記念クラスノゴールスク工場(略称KMZ)で作られているゼニートという一眼レフ用のレンズのブランド名で
さらに
このロシアのサイトなどを参考にするとこれは東独の
カールツァイス・ビオター75mmF1.5の
コピーらしいのですが
以前M42マウントで販売されていたものを2012年からキャノン用EFマウントとニコンFマウント用が発売になったらしい。
85mm F1.5のハイスピードレンズでレンズ構成は4群6枚のダブルガウス型。最短撮影距離はレンズ先端から60cm。
手に取るとガラスの塊のようにずしりと重い。何しろ重量800gです。
さっそくフォクトレンダーのマウントアダプターを介してOM-D E-M1に装着してみました。
ところがなぜかアダプターのロックがかからない。
そのためレンズの距離計を回すとレンズ自体が回ってしまう。
よくみてみるとレンズ側のマウントアダプターのロックピンがハマる溝の位置が少しずれていることが判明。
仕方がないのでヤスリで溝を広げることにしました。
この写真では溝を7時方向に数ミリ削って広げたところ無事アダプターをロックさせることが出来ました。
さて、操作方法なんですが同封のマニュアルを読んでもロシア語なのでさっぱりわからない。
したがって以下の記述はすべて僕の推測です。
まずカメラに一番近いリングが合焦のためのヘリコイドなのはよいとして
赤矢印のリングがなぜか空回りのようにくるくる回る。
矢印の反対方向に回し続けても何も起きないが
これを矢印方向に回し続けるとようやく固く締め終わることが出来る。
この操作はこのレンズを扱うために必須のような気がする。
レンズ先端上面に刻印されている赤ドットは常にカメラの0時方向にありますが
さきほど固く締めた真ん中のリングをこの0時のラインに合わせると
絞り値が書かれたリングを1.5から22まで自由に回転させることが出来る。
今仮に絞り値のリングをF5.6にした。
これは絞りの上限を意味しており、実際に絞り羽を動かす役割はAのリングが担っている。
下矢印の位置に赤ドットがあるが、これは常に絞り値1.5に位置しており
Aのダイヤルを回して白ドットをこの赤ドットに合わせると
絞り羽がF5.6になる。
このようにAのリングを回すと絞り羽をF1.5とF5.6の間を無断階に調整できるが
上限値がF5.6に固定されているのでそれ以上絞ることが出来ない。
また上図のようにAの白ドットを赤ドットの位置に合わせているかぎり
レンズ先端の(絞りの上限を決めている)絞り値ダイアルは固定されて動かすことが出来ない。
絞り値の上限を変更するためにはこのようにもう一度Aのダイヤルの白ドットを0時方向に戻さなければならない。
上図では白ドットを絞り値の上限F22にしてみた。
こうするとAのダイヤルはF1.5からF22まで自由に絞りを変えることが出来る。
何のためにこんな工夫がされているのかよくわかりませんが
操作ミスによる絞り値の変動を極度に恐れているような印象を受けますね。
僕自身は開放メインで使うので絞り値は1.5固定です。
古い設計のレンズなのでフレアやゴーストが出やすいことは想像に難くありません。
フードは必須ですがレンズ径67mmなのでノクチクロンのフードがちょうど間に合いました。
Olympus OM-D E-M1での開放F1.5です。
F5.6に絞ってみました。
同じくOlympus OM-D E-M1での開放F1.5です。
Olympus OM-D E-M1 Panasonic LEICA NOCTICRON 42.5mm F1.2
比較のためにノクチクロン開放です。
マウントアダプターをはずして直接D800Eに装着。
Nikon D800E with Helios 40-2 85mm F1.5
ボケ味に関してはノクチクロン開放といい勝負?
ノクチクロンはマイクロフォーサーズで85mm F1.2ですが
ニコンもキヤノンもフルサイズで85mmのハイスピードレンズはどれもとても高価です。
ロシアレンズ、おひとついかがでしょう。
ヘリオスで撮った作品第一作は
こちら。