"私たちは欲求が完全に永遠に満たされて、もう何も欲しなくなるようなニルヴァーナを求めているわけではない。むしろ、この欠如を私たちは積極的に愛しているのである" 「他者と死者」208頁。
なるほど。確かに僕たちは手に入れたあとより、ある明確な何ものかを欲望している時の方がワクワクしているというのは実感としてわかる。だから埋めなければならない欠乏がみつからないとなんとなく寂しく、生命力が枯渇しているように感じる。
エベレスト登山隊のキャンプにはエロ本があふれているという話や、登山家の野口健氏が雪山でいよいよ生命の危険を感じた時には女性用香水を嗅いでしのぐという話を聞くと危機的な状況においてひとはわざと欲望を喚起して、それによって生命力を呼び覚ますものなのだと知る。
生命力が減退すると、当然欲望も減退する。
生命力が横溢すると「もっと生きたい!」という思いが欲望をドライブする。
欲望をドライブすると、それによって生命力が沸き起こってくる。
我々が基本的に欠如を愛しているのは生きたいという自分の欲望を愛しく思い、かつそれを肯定しているからなのだろう。
写真は本題と関係がなさそうでありそうなアルファロメオジュリエッタの初期型。
ディーラーに飾ってあったのをiPhoneで撮ってWaterlogueで加工。
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