2008/07/06

ワレワレハ 宇宙人ダ




「諸君、我々は間もなくアルファ・ケンタウリ第三惑星の引力圏内に入る。
この惑星の地表には高度な灌漑設備や工場や発電所が確認されており、知性レベルはグレード4。我々の船体は高度1000まで下降したのち彼等の都市の上空で停止し、拡声器で彼等に語りかける。」
「何と語りかけるんです?」
「我々はアメリカ人だ」
「隊長、僕は日本人ですが」
「おお、そういえばキミは愛知県出身だったな」
「我々は地球人だ、というのはどうでしょう」
「うむ、それがいい」
「でも彼等は地球という惑星のことは知らないでしょう」
「なるほど」
「彼等にとって、私たちは宇宙の彼方からやってきたんだから宇宙人なんですよ」
「いや、わしは地球人だ」
「隊長、私たちは相手の身になってしゃべらなくてはなりません」
「まったくだ。たとえ我々の目当てがこの星の石油であったとしても、相手の身になって語りかけることは大切だ。マイクを貸してくれ。照れちゃうな。てへへ。宇宙人か」

『わしらは宇宙人だ』

「隊長、どうしてさらっとしゃべってしまったんです!それじゃとてもいっぱしの宇宙人とは言えません。ここはひとつ、一定の音程で、しかもとぎれとぎれにしゃべっていただかないと。それにわしらってなんですか。宇宙人は自分たちのことをわしらなんていいません。我々は、と言うべきなんです。あ、それともうすこしかん高い声でお願いします」
「うん、わかった」

『ワレワレハ 宇宙人ダ』

0 件のコメント:

コメントを投稿

twitter