2008/07/21

新聞記者になったら



新聞記者になったら僕はペンとカメラをもって世界中を駆けめぐり巨悪に光を当て虐げられている弱者に光を当てるんだ。ぼくは社会の正義のために闘うんだ。そんな熱い思いで新聞社に入ったら先輩が言った。「いろいろあるわけよ」


ペンを持つものはいろんな思惑に配慮しなければならない
弱者が虐げられている裏には大きな政治的力が働いていたり
社会のシステムが必要とし社会のシステムの中で重要な役割を担っている巨悪があったり
構造化された弱者を救うことはとてつもなく困難だったり
巨悪の当事者は社会構造の中でみずから進んで悪の役割を買って出たわけではなかったり
事件のほとんどは悪意を契機にしていなかったり
いわれなき当事者を生け贄として血祭りに上げることが新聞社の仕事の大きな柱であったり
スポンサーの意向を無視しては記事を書けなかったり
将来の日本の行く末を視野に入れることで記事の内容を曲げたり消したりしなくてはならなかったりそれが実は政治的な圧力のせいであったり政治的な圧力が特定の利権団体を利するためであったりそれを書くことが許されていなかったり
新聞社の中での力関係を配慮しなければならなかったり
新聞社の中に大きな悪が隠れていたりそれを書くことはもちろん許されていなかったり
新聞社を首にならないために黙っていなければならなかったり
政治家に情報を提供してもらうために政治家の不利になることを書けなかったり
スポンサーに便宜を図らざるを得なかったり
政治の流れがすごく見えているのにそれを書くことが許されていなかったり
自分でも書いた記事があまりに薄っぺらでほとんど内容は何もないということを自分でもわかっているけどどうしようもないんだこういうふうにしか書くことを許されていないんだと自分を慰めるしかなかったり
ジャーナリズムの世界そのものが清濁併せのむこの社会の縮図そのものだったということや
何も物を言えない自分自身が清濁併せのむこの社会の縮図そのものだったということや
でも何の根拠もなく自分はジャーナリストだと自負しなければやっていけなかったり
路上で雑談するおばさんや銭湯でくつろいでいるおじさんよりもこの世界の本当のことをしゃべることが一番許されていない職業は実はぼくら新聞記者だったということに気が付いたり
社会正義という商品を売るのが商売なのに社会正義から最も遠い商品しか提供出来ていないことのつらさに日々耐えなければならない。
全ての大人たちはそうしている。
特に「きれいごと」に近い仕事をしている大人たちは。

6 件のコメント:

  1. とーし7/21/2008

    shinさん、なんか・・・あったん??

    こういう話題のとき、ワシがいつも思うのは、西洋社会とアジア社会の違いということなんや。

    本音と建前が常に対立して戦っている社会と、本音だけが力を持ってゴリゴリのしていく社会と言い換えられるかなと思うんやけどな。

    ワシら、どないしたらいいんやろな。

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  2. とかげ7/21/2008

    こんばんは、また来ました。

    私も「きれいごと」だけでは生活してこられませんでしたが、
    「オモテ」に出たら「きれいごと」もしなければなりません。

    しかし
    井戸端会議のおばさんやパンツ一丁のおじさん達は
    彼らなりに大変な時期が過ぎ
    もう色々とどうでも良いわけで
    歯を食いしばって生きてきた時代が終わり
    口を開き、話し始めると止まらなくなったようですね。

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  3. >とーしさん。
    いやー。別にどうもしてません。どうもしてないと思う(笑)。
    新聞っておもしろくないでしょ?
    おもしろくないんですよ。
    政治経済の動きや政治家の発言。
    補助線一本引いたら、あっ、そういう流れが裏にあるわけねとわかるのに、書けない事情があるんだろうな。
    本音を書かないという役割を担っているんだろうな。
    僕が新聞記者になったら、というのをちょっと想像してみたらこんな文章が出来上がってしまいました。

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  4. >とかげさん。
    「きれいごと」の近くで仕事をしている人たち、愛とか正義とか公正とか、そういうきれい事を扱っている業種の現場は、理想と現実の間のギャップが大きすぎて、その開離に引き裂かれている人が多いと思う。そういう現場では、「狂う」か「腐る」かしかないみたいなところがあって、狂いもせず、腐りもせず生きていくためには、ある種の知恵が必要だと思うのです。
    僕は今のジャーナリズムが狂いもせず、腐りもせず正気を保っていくためには、「ユーモア」しかないと思うんだけど、今の新聞には皮肉や捨て台詞はあってもユーモアは見あたらない気がします。いや僕の文章にもユーモアはないけど(笑)。

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  5. SNOOPY7/22/2008

    私は一時期、本多勝一様に請っていたことがあります。ファンレターを出して、おはがきをいただいたこともあります。彼の書いたものをぜひ読んでみて下さい。彼についてはいろいろありまして、ここで感想を言うのは控えさせていただきますが、ものの見方が変わると思います。

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  6. snoopyさんコメントサンキュです。
    本多勝一さん。名前は知っていたけど、どんな人か全然知らずに過ごしてきました。ネットで調べると激しく闘ってきた人ですね。
    でも申し訳ありませんがちょっと苦手かもしれません。
    というかかなり苦手かもしれません。
    いやそうとう苦手かもしれません。
    ごめんなさい。

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