ちあきなおみや菅原洋一の歌を聴いていて思う。
歌はなぜ死んでしまったのだろう。
昔は泣ける歌や口ずさめる歌がたくさんあった。
当時若かった僕らにしてみれば、ああまた歌謡曲か。湿気が多くて嫌だななんて思っていたけど、最近の音楽はラップにしてもhip-hopにしても、かろうじて残っているメロディーは非常にシンプルなモチーフが繰り返されるだけで、主体はあくまでリズムと言葉だ。その言葉も使い古されたフレーズが多いし、ラップで使われる言葉には妙に古い四文字熟語なんかが入っていて聴いているこちらが恥ずかしくなってしまう。だからあくまで主体はリズムなのだろう。メロディーは死んでしまったのだ。
僕らが発する肉体的な音で「メロディー」に一番近しいものは何だろう。
こまぎれにならずに、音がある程度持続し、しかもその音に高低の波があるもの。
それは泣き声ではないか。
メロディーというのは、泣き声から生まれたのではないだろうか。
そして僕らが発する肉体的な音で「リズム」に一番近いものは何だろう。
断続的で、音程にあまり変化のないもの。
それは笑い声、怒鳴り声、ののしり、激しい心臓の鼓動、行進する足音、叩く音。
それらは僕に戦いを連想させる。
だからメロディーは自責的な人の出す音で、リズムは他責的な人の出す音なのかもしれない。
僕らの音楽がメロディーからリズムに移ってしまったわけはいろいろあると思うけど、かつて自責的であることを引き受けるだけの力を持っていた僕達は、もはや他責的にしかなれないほど弱くなってしまったのだろうか。
たぶん僕達は泣くことよりも怒鳴ることを選んでいるのだろう。
ドキッとしてしまいました。実はMelodyっていうのは娘の名前なんです。なんとなくわかりますよ。数年前にABBAの特集番組をテレビでやっていて、一緒に見ていた娘が番組が終わるころにはABBAのうたを口ずさんでいるのを聞いてやっぱり70年代の音楽はすばらしいと実感しました。時と場所を選ばない誰でもわかりやすいメロディラインなんですね。カーペンターズなどもいつ聞いても聞きほれてしまいます。
返信削除>snoopyさん。
返信削除ごめんなさい。知らなかったとはいえ不適切なタイトルでしたね。ちょっと変えときました。
娘さん、ステキな名前ですね。名前を聞いただけで詩的な気分になります。よろしくお伝え下さい。
CARPENTERSは僕も好きでした。
Rainy days and mondays always get me down~♪
たま〜に思い出したように、
返信削除『Zapp (1980)』と言うアルバムを聴き直しますが、
そのたび「この時代のファンクの勢いと完成度ってすごいなー」と新鮮な驚きに包まれます。
リメイク映画や昭和期のドラマが流行るように、時代は「シンプルさ」「分かり易さ」「世代を繋ぐ物語」を求めてるのかも知れません。
が・・「敢えて作った作品」「ネタに走り、儲け根性が底に透けて見える作品」を
「良く出来てるけど・・ちょっと違う」と評する人々の声が何となく高まって来てるような、そんな気がします。
TiM3
そうですねぇ。Shinさん、同感です。メロディーと歌詞がどこかに隠れてしまっていますね。きっといつか出てきてくれるはず、、、とも信じたいです。
返信削除カーペンターズ、好きでした。その昔、京都で行われたコンサートに行きました。発売されるたびにLPレコードを買いに行ったものでした。お小遣いはすべてそれに消えていましたね。ソリティアー、マスカレード、ミスター・グーダー、サン・ホセへの道、どれも心に沁みる曲たちでした。
そんなつもりではなかったのに、わざわざお気遣いありがとうございます。申し訳ありませんでした。
返信削除こちらでも昔のテレビシリーズのリメイクとか多いです。1976年を舞台にした新番組もあるんですよー。
その名も“Swing Town"。当時の音楽がふんだんにに使われるようです。
娘の名前は“小さな恋のメロデイー”という映画が好きでつけました。この映画にも名曲があふれています。
>TiM3さん。
返信削除Zappをアマゾンで試聴しました。すごくファンキーですね!
僕にとってファンクと言えばTower of PowerとかEarth Wind & Fireです。特にEW&Fは好きでCDは5枚持っています。
>「良く出来てるけど・・ちょっと違う」と評する人々の声が何となく高まって来てるような、そんな気がします。
そうですね。そこはツボなので観ると泣いちゃうけど、ちょっと悔しいというか。そういう攻め方は卑怯じゃないかとか。
泣きながら思ったりしますね。
>みゆさん。
返信削除おお、みゆさんもかなりディープなカーペンターズファンだったんですね。
もちろんどのミュージシャンも多かれ少なかれそうだとは思うけど、カーペンターズって本当に独自だという気がします。英語で言うと"definite"という感じです。
カレン・カーペンターの歌声が始まるとその瞬間に彼等の世界が厳然と、明確に立ち現れる。
彼等独自のmoodというかairというかatmosphereが明瞭に立ち現れてくる印象が強いですね。
なぜなんだろう。
その世界は結局彼女の声を中心に構成されている気がする。
音楽が形作られるコアの部分に何があるか。
カーペンターズの場合それはカレン・カーペンターの声なのではないかという気がします。
その声が必然的にある特定のairを現出させる。そのairを最も活かすことが出来るような選曲やアレンジを考えたのが兄リチャードだったんではないでしょうか。
ああ、あまりカーペンターズのこともよく知らないくせに勝手な想像をしてしまいました。ファンの人たちに怒られちゃうかも。
>snoopyさん。
返信削除「小さな恋のメロディー」。
恋に疎い僕は観ていませんが、当時ビージーズのMelody Fairはよくかかっていましたね。
Who is that girl with a crying face~♪
うん。いい曲ですね!