2010/05/18

なぜ血管は青く見えるか

_4055944


血液は赤いのに、なぜ皮膚の下の血管は青く見えるのでしょう。
長い間これは僕の疑問でしたが、このサイトを見てようやく謎が解けました。榎本先生感謝です。


まず「皮膚の下にある黒いものは我々の目には青く見える」という事実を確認しましょう。

例えば赤ちゃんのお尻の蒙古斑は青く見えますが
蒙古斑というのは実は青ではなく黒いメラニン色素です。

またヒゲ剃りあとは青く見えますが
剃り残した皮膚の下の毛根に含まれる色素はやはり黒いメラニンです。

小学校の時にいたずらで皮膚に刺した鉛筆の後は青緑色に見えますが
これも皮膚の中にあるのは鉛筆の黒いカーボンです。

つまり皮膚の下にある黒いモノは我々の目には青く見えるわけです。

さて問題は血管です。
血液は赤いですが、これは動脈血などの酸素を豊富に含む血液の場合です。
でも動脈の壁は厚いのでその中の血液は見えません。
皮膚の下に見えているのは静脈です。
静脈血は酸素をあまり含んでいないので、どちらかといえば黒っぽい。
だからこの場合も「皮膚の下にある黒いものは我々の目には青く見える」
という点では同じ現象です。

さて、ではなぜ皮膚の下にある黒いものは青く見えるのでしょう。

光は主に青・緑・赤という3種類の光が合わさっています。
リンゴは青と緑の光を吸収し、赤い光だけを反射しています。
私たちは戻ってきた赤い光だけを見てリンゴは赤いと認識します。
青と緑と赤の全ての色を吸収して、どの色の光も反射しないものは黒く見えます。
トンネルの中が暗い(黒い)のは光が帰ってこないからです。

皮膚から入った光がもしそのまま静脈血に吸収されたら、血管は黒く見えるはずです。
でも皮膚と血管の間には水や脂肪などからなる疎な結合組織が存在します。
赤い光は反射しにくいのでそのまま黒い血管に吸収されてしまいますが
青や緑の光は赤い光よりも反射しやすい性質を持っているので
疎な結合組織の中で乱反射を起こして戻ってきます。
そのため私たちの目には血管が青く見えるというわけです。

さて最近の内視鏡ではNBIという特殊な光による観察が行われるようになってきました。
胃の粘膜は普通の胃カメラで見ると赤っぽい。
それは胃の粘膜に酸素を多く含む毛細血管が分布しているからです。
血管が赤く見えるのは、毛細血管が疎な結合組織を介さずに粘膜の表面を走っており
かつ酸素を含む血液が青と緑の光を吸収して、赤い光だけを反射しているからです。
ではこの粘膜に青と緑の光だけを当ててみたらどうなるでしょう。
青と緑の光は吸収されてしまい、帰ってくる赤い光がないのですから
血管は黒く見えるはずです。
NBIではこうして血管のコントラストを上げて
血管の形態や走行のわずかな異常から癌を探したりその広がりを調べたりするわけです。
えー、今日の講義はこれにて終了です(笑)。

2 件のコメント:

  1. こばと★8/02/2011

    ありがとうございます!私はズッッット気になっていたので、、!いやぁ〜今日はよく眠れるなぁ!(笑
    そんじゃあ!寝てきます!ZZzz

    返信削除
  2. こばと☆さんありがとうございます。
    お役に立ててよかったです。おやすみなさい(^_^)。

    返信削除

twitter