2013/02/20

裏の世界へ通じる穴



昨日のお話の続きです。

トランプに表と裏があるように、全ての物語には表と裏がある。
表面に現れている物語には必ず裏の世界へ通じる穴があり、それは表の物語において
「何だかよくわからないが何となく気になるもの」という一種の謎として立ち現れる。
昨日の映画でその役割を担っているのが骨塩量測定器だ。

あの映画は表面的には幾多の困難を乗り越えて夢を実現するサクセスストーリーだが、その裏側にあるのは「過去を取り戻そうとする男(ヒッピー)と未来を取り戻そうとする男(主人公)がタイムマシンを奪い合うという物語」である。

かつてそれはあった。しかし今は失われてしまって手元にはない。
だから「過去」は取り戻せるかもしれないが、「未来」を取り戻すとはどういうことか。

ある日高給取りの株式仲買人が赤いフェラーリに乗ってさえない主人公の前に颯爽と登場する。
この物語の中で失われた未来として登場するのがこの「赤いフェラーリ」だ。
その日から主人公は、ほとんど不可能とも思える証券会社への正式雇用に向けて猛然と努力し始める。

一方老いたヒッピーにとって取り戻すべき過去とはジミ・ヘンドリックスがギターに火をつけて燃やしていた1967年。
当時のサンフランシスコはヒッピームーブメントのメッカだったのだ。
真っ赤なフェラーリと燃えるギター。
そのいずれもが、糸巻きが糸を繰り込むように二人を過去と未来に牽引する。
そして二人を過去と未来に連れて行く乗り物こそがタイムマシン(骨塩量測定器)なのだ。

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