2019/04/08

King Profitの復活

買ってはみたもののどうにも使いあぐねている万年筆の最右翼は僕の場合はセーラーのキングプロフィットだ。
このペンをいつ買ったか、ずいぶん前だったはずだけど自分のブログを検索してみたら2009年の7月だった(こんなときブログって便利だ)。
10年も保有しているのにそのあいだほとんど使わなかったのは筆致が細かったから。そんなこともわからずに買ったのかといわれそうだけど、まだ当時は万年筆初心者で自分のニブの好みも知らなかったのだ。それで仕方がないから買ったときと、それから半年ほどしてからもう一度ペン先を某所でスタブっぽく研磨してもらったけどやっぱりダメで結局お蔵入りとなった。

今回ふと思い立ってペン先をミュージックニブに変えられないかメールでセーラーに相談してみたら以下のような返事が来た。
「ペン先をミュージックに変える事は規格にない為できません。一時海外仕様でミュージック仕様ではないですが長刀研ぎ等特殊ペン先を装着したものを販売した経緯はございます。但し今では全く生産はしておりません。お役に立てず誠に申し訳ございません」

そうか、ミュージックニブは無理か。じゃあせめて太字ニブに変更できないか再度メールしてみたら以下の返事が。
「太字への交換は可能です。ちなみに費用は24,624円(税込)になります。しかし最初に品番11-7001-620?であると伺っております。もしそうならばこの品番は字幅が太字になります。またキングプロフィットエボナイトですが、ナショナルブランドとしましては中字及び太字のみの規格になります。ペン先下部の左側に刻印があると思います。刻印がMであれば中字、Bであれば太字になります。ご確認を頂ければ幸いです」

それで僕のキングプロフィットのペン先を調べてみたらなんとBの刻印が!細字だとばかり思っていたニブが太字だったのだ。
うーん、それなら交換する意味がない。折角相談に乗っていただきましたが当方のニブもBでしたと担当の方に返事してから考えた。
このままずっと使わないよりは一か八か自分でペン先を研いでみよう!


IMG_8524


拡大鏡で見るとペン先の先端部が左右からの研磨で細字になっていた。それでペンを垂直に立てて400番の耐水ペーパーで先端のイリジウム部がなくならないギリギリまで削って先端を平らにし、そのあと書き味を確認しながら1000番、2000番で丁寧に研磨していった。上の写真は研磨終了後。


MontBlanc Permanent Blue


その結果どうなったかというと、素人の研磨にしては上出来でペン鳴りはするが意外なことにとてもスムーズに書ける。そして一番驚いたのはペン先の見た目の細さに反して筆圧をかけると縦の線がかなり太く書けるしっかりとしたスタブになったことだ。21金という柔らかいペン先がしなることの効果だろう。それからザラザラの胴軸をピカールで磨いたらスベスベになって光沢も出てきた。
そうまでしてキングプロフィットを自分好みに仕立て上げる意味はあるのかと問われれば力強く「ある!」と答えたい。その後しばらく使ってみてつくづく感じたことだけど、しっかりした太い軸は僕のような筆圧の強い書き手には理想的だし、それからこれはペンを持ったときに毎回感じることだけど体温との温度差をほとんど感じさせないエボナイトのきめ細かいサラサラした感触はとても好もしい。
インクはモンブランのPermanent Blue。


Montblanc permanent blue


10年間も冬眠していたこのペンが現役第一線に参列することになったのは感慨深い。
このペンを買ったときナガサワの店内で万年筆使いの練達が「これは磨けば化ける」と言って磨き布をくれたことを思い出す。




追記:僕のようにどうしてもキングプロフィットをスタブやミュージックで使いたい方は日本のサイトでBニブを購入してプロの研磨師に研いでもらうか、あるいは海外の例えばこのサイトなどでBニブ(21K Rhodium Broad)、オプションでStubを選ぶという手もあります。
プロギアスリム、プロギアレギュラー、キングプロフィットのサイズ比較はこちら


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