2009/05/23

三代目

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GRD2

1台目はCCDのゴミ、2台目は片ボケで交換になったGRD2君。
3台目がやってきました。
GRDそのものも、銀塩のGRが初代、デジタルのGRDが二代目ですから、GRD2はGRの三代目ということになります。


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GRD2

江戸の川柳に「売り家と、唐様で書く三代目(うりいえと、からようでかくさんだいめ)」というのがあります。

初代は文字をきちんと習う暇もないほど馬車馬のように働いて財をなし、二代目は素直に父親の跡目を継いで堅実な経営で安定期を迎え、三代目は初代の苦労を知らず富裕な家庭で何不自由なく育ったために、学問や趣味や道楽で身を持ち崩し、家を売る羽目になる。
家を売るにしても、三代目は根っからの趣味人なので、家に貼る「売り家」という張り紙の書体ひとつにも凝ってしまって、ここはやはり今流行の唐様(中国の唐の書体)でなくてはなるまい(当時の流行の最先端は中国だったんですね)というわけです。
家を売らなければならない悲劇と、ついついトレンディーな書体で「売り家」と書いてしまう三代目らしさがおかしい。


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GRD2

フォークソングが全盛だった頃に彗星のように現れた荒井由美(ユーミン)は、当時キャベツばかりを噛んでいた四畳半の住人たちの中に、超絶的に垢抜けた世界を出現させました。
泉谷しげるなど、当時のフォークシンガーたちは彼女の実力に舌を巻くと同時に、オシャレなコード進行だけじゃねーかというやっかみを口にすることが多かったように思います。
ユーミンは三代続いた老舗の呉服屋さんの娘で、自分の音楽は簡単に作れるわけではないという意味を込めて「三代続かなくちゃ駄目なのよ」と言ったとか。
以上は僕の古い記憶なので間違っているかもしれませんが、まあ事ほど左様に三代目というのはそういうもんなんですね。


さて、話は変わりますがGRDとDP1は何が違うのか。
それが今日わかった気がする。



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GRD2


僕の印象では、GRDには日常が写り、DP1には非日常が写る。



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GRD2

僕はどうも日常の中に隠れている非日常的なものを追っているみたいで、マクロが好きなのもそれが理由かもしれません。
DP1で撮影すると、ありふれた景色にちょっと変なものが入る。
変なものと言っても、背後霊とかではなくて(笑)、気配(けはい)。ちょっとこの世ならざる気配。
普通のものを写しているのに、そこには普通でないものが写ってしまう。普通に撮っても普通でなくなる傾向がある。
それは僕だけの現象ではなくて、ほかの人がDP1で撮った写真を見てもそれは写っている。

その理由は、DP1で撮った写真が超絶的にリアルであることと関係がありそうだ。
現実を超細密に描くとそこに非現実が現れるように、
DP1はリアルの向こうにある超リアルが「写ってしまう」カメラなのではないか。

だから、実は非日常を追っているのは僕ではなくてDP1なのかもしれない。
僕は実はこのカメラに非日常を撮らされているのではないか。
でも撮っているにせよ、撮らされているにせよ結果的に僕は満足な日々を送っているわけだからそれでいいんですが。

さて、GRD2は素直なカメラです。
撮れば、そのまま日常が映る。
だから日常のスナップにはもってこいのカメラです。
でもDP1で写る非日常をこのカメラで追おうとしても難しい。どうしても日常になってしまう。

撮るカメラによって見える世界が違うという、ありきたりな結論で今日のお話はおしまいです。


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GRD2

6 件のコメント:

  1. shinさん まったく そうですね。
    初代が身を粉にして身代を築いても
    三代目で身代を潰してしまう。
    現代にも通用する言葉と感じています。
    金持ちの大きな家の孫の代で
    外車でも乗り回して~。。。

    まあ~非日常のDP1君と
    日常のGRD2君の違いが
    まだ 分からないけど
    結構!GRD2君も 今日の写真を見ると
    いけてる感じがします。
    案外yosakuから見ると
    捨てたものじゃないと。。。。

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  2. yosakuさんありがとうございます。
    現像するたびに、あ~、なんか違うな~、やっぱり駄目なのかな、などとさんざん愚痴っていましたが、そうか。これは日常を普通に撮るためのカメラなんだとわかったら、もう文句は言うまいと思いました。
    僕はちょっとイッてる写真が好きなのでこんなことを言いますが、GRD、いいカメラだと思います。

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  3. shinさん、3代目のお話は大変愉快に読ませて頂きました。
    DP1の話は本当に共感出来る内容でした。
    きっと僕も普通に見たらなんて事無い物を撮ってしまうのは、そこに非日常があり、DP1はそれを現実に見せてくれるからだと思います。
    でも、shinさんが撮ったGRDの写真も好きです!

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  4. おお、Noisyさんサンキュです。
    そうなんですよ。ちょっとこのカメラ、ヘンですよね。
    気に入ってます(笑)。

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  5. はじめまして、tamuと申します。
    DP1を買おうかどうか迷って検索しているうちに、
    こちらのサイトにたどり着きました。
    マクロ撮影ができないことがネックだったのですが、
    Fisheye for HOLGAの記事を見させていただいて、
    買う決心がつきました。
    それと、DP1で非日常が写るというお話にも、
    すごく納得しました。
    自分がなぜこのカメラで撮った画像にひかれるのか、
    答えをいただけた気分です。
    今までいろいろな方の写真を何気なく見ていたのですが、
    気になる…というか私が撮りたいと思うような写真を見返すと、
    DP1での撮影が多いんですよね。
    shinさんの撮られた写真の中でも、やはりDP1使用のものが特に好きです。
    あまりカメラの知識等ないので、買ったとしても同じような写真が撮れるかどうかはわかりませんが、
    少しでも理想に近づけるよう、頑張ってみようと思います。
    これからも、shinさんの写真、楽しみにしています。

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  6. tamuさんありがとうございます。
    DP1でマクロを撮るというイバラの道をあえて選択されたことに一抹の責任を感じます(笑)。
    いや、それは冗談ですが、普通に撮ってもちょっと異界の風が吹くDP1でマクロを撮るとさらに興味深い世界を楽しめると思います。
    tamuさんのブログのコケの写真、とてもすてきです。どの写真も穏やかな空気を感じます。小さな世界に対する慈しみの眼を感じます。
    僕の場合は異界に対しちょっと恐ろしげなものを期待するところがあるのですが、tamuさんの場合は不思議に対する好奇の目をお持ちなのだと思います。
    僕自身は今いろんなレンズが僕をいざなってくれる様々な世界を逍遙している途中なので、DP1君とのお付き合いは休憩中ですが、何か困ったことがあればご相談下さい。こんな僕でも何かお役に立てるかもしれません。(^_^)。

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