岡田真澄が荒井由実に恋をしたのは少し遅かったような気がする。
たしか'76年ごろ。
担当のラジオ番組で彼にしてはそわそわした口調で「僕は恋をしてしまった」と切り出した。
彼が紹介したのは「海を見ていた午後」という曲で
とりわけその中の「ソーダ水の中を貨物船が通る」というくだりに彼は参っていた。
すでに彼女のファンだった僕はなんだ今頃気が付いたのかと思いながらも
彼の感動は手に取るようにわかったし僕も参ってしまった一人だった。
こういった儚げなものの美しさ、せつなさを僕ははっきり感じることは出来ても自分で作り出すことは出来ない。
それはこう言ってよければ女性特有のセンチメントで
それもすべての女性というわけではなくまた特定の女性にとってさえごく短い期間しか咲かない珍しい花のようで
かつてそんなセンチメントを抱いていたことさえ忘れたような顔をしていても
たしかにそれはかつて彼女らの心にあった。そして残念ながら僕らはそれをなぞることしか出来ない。
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