僕は欲望の枯渇を恐れている。
欲望の対象が枯渇すると焦り、欲望する力が枯渇すると寂しい。
そしてそのどちらもなくなると生きる意欲が消える。
欲望とは中心の虚のことで、欲望が枯渇するというのはその虚が消失することを意味する。
そしてそれを寂しく感じるというのは虚がなくなったことを虚として感じるということだ。
ひとは新たな虚を求めてさすらう。
ひとはこうして自ら虚を創りだしてでも欲望(生命への意欲)を掻き立てようとする。
そして「少なくともそのとき私は欲望に忠実だった」というアリバイ物件だけが身辺に溜まっていく。
もし老いや死に対する不安がなければ生命への意欲を無理やり掻き立てることもないだろう。
そうすれば中心の虚の消失を焦ることもなくなるだろう。
そうすれば身辺もずっとすっきりするだろう。
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