2019/06/23

メニエール症候群

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Leica M10-P Ai Nikkor 50mm f/1.2



初めてメニエール病になったのは2年前。仕事のストレスがピークだった頃で、突然激しい回転性めまいと吐き気でそのまま入院。イソバイドシロップ、ステロイド、柴苓湯などいろいろ試してみたがいずれも効果なく、たまたまネットで札幌東和病院の七戸満雄氏のサイトをみてメニエールのヘルペスウイルス原因説を知った。

これについては各種議論があるようだが、聴力を司る蝸牛神経と平衡感覚を司る前庭神経という別系統の脳神経の症状が同時に発生すること、利尿剤(イソバイドシロップ)やステロイドが有効な場合があることから考えると、両方の神経が通る内耳道内の炎症性浮腫が原因と考えれば理解できる。

またメニエールがしばしば精神的ストレスを誘引として発症するのも、同じくヘルペスウイルスの再活性化が原因の帯状疱疹がストレスによる免疫能の低下を誘因として発症するのと似ている。

恒久的な聴力低下についても、外的ストレス→内耳道内のウイルス増殖が活性化→浮腫による内耳道内の恒常的な圧上昇→局所における慢性的な血流低下→前庭神経と聴神経の変性という流れで説明可能だろう。

また片側のメニエールが対側に及ぶことがあることは、片側の器質的異常が原因とは考えにくく、むしろ免疫能の低下による両側のヘルペスウイルスの活性化と考えると理解しやすい。

ハント症候群という病気がある。耳介周囲の帯状疱疹に次いで顔面神経麻痺をきたす病態だが、顔面神経系の膝神経節に潜伏感染したヘルペスウイルスの再活性化→ウイルス性神経炎による神経浮腫→骨性顔面神経管内の神経圧迫→循環不全による顔面神経麻痺という発症様式はメニエールと非常に似ている。

このまま何もせず寝ていてもしようがない。一か八かバルトレックスを飲んでみることにした。メニエールに対するバルトレックスは保険適応外なので海外のサイトから取り寄せて服用したところ内服開始して10日ほどで眩暈は気にならなくなった。耳鳴りと難聴が残ってしまったのは治療が遅れて聴神経と前庭神経が変性してしまったせいだろう。もっと早く治療をしていればと悔やまれるが、まぁ仕方がない。


あれから二年。先日からメニエール病が再発した。ちょっと根を詰めて勉強していたせいだと思う。冷蔵庫にしまっておいたバルトレックスを飲みはじめて4日。今朝ようやく起き上がれるようになった。耳鳴と耳閉感と難聴は相変わらずだが日常生活が普通にできるほどに眩暈は改善した。

耳鼻咽喉科学会はこの仮説に冷淡なようだが、できれば発症早期で耳鳴と難聴が不可逆になる前の患者を対象に眩暈の改善度を指標にした大規模なRCTをやってほしい。有効性が証明されてバルトレックスが保険適応になれば救われる人も多いだろう。
今日札幌東和病院のサイトを久しぶりに開けてみたら七戸満雄先生は退職とのこと、先生お疲れ様でした。ありがとうございました。






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