2022/02/19

日本野鳥の会長靴を改造する




僕は近くの川に入って写真を撮ることが多い。その時に履いていくのが日本野鳥の会長靴だ。靴底が薄くて、まるで足袋のように地面の凹凸を感じることができるのが気に入っている。

でもこの長靴について、もう少しこうだったらいいのにと履くたびに感じていることがあって、それはまず第一に滑りやすさ。野鳥の会長靴の靴底のトレッドは一般的なゴム長靴と大して変わらなくてとても滑りやすい。
光の反射で見えないが川底にはデコボコした岩がある。何気なく踏みだした足が苔蒸した岩で滑ることも多く、転倒しないまでも体制を崩すだけでカメラ機材をそこら辺にぶつけたり水没させる危険がある。これまで数限りなく危険な目にあってきた。

それなら靴底にスパイクを付ければいいだろうと思いついてこれ(リンク)とかこれ(リンク)とかこれ(リンク)とかを買って装着し、今度こそこれで完璧だ!と長靴をガチャガチャいわせながら川べりに降りても歩き出した途端に簡単に滑ってしまったり靴底からスパイクがグニャッとずれて外れてしまったりする。いくらしっかり締め付けても靴底とスパイクが一体でない以上やむを得ないことだ。

そうなのだ。長靴が滑らないためにはスパイクが靴底に密着していないとダメなのだ。それで僕はあきらめてウェーダーを買うことにした(リンク)。このウェーダーの靴底はフェルトピンソールといって、金属ピンがフェルトのなかに埋め込まれていて、金属ピンは岩の細かな凹凸をガッチリホールドし、フェルトはヌルヌル滑る苔蒸した岩肌をきっちりホールドしてくれる。実際その効果は驚くべきもので、これまで様々なスパイクを長靴に装着しても解決されなかった水中歩行スッテンコロリン問題がウソのように解決した。

じゃあもう今後は川に入るときはずっとウェーダーを履けばいいではないか。しかしウェーダーはまぁズボンのように履くタイプなのでちょっと大げさだったり、ポケットがないのでカメラマンベストを必ず着なければならなかったり、気持ち的にガッツリ「よーし、今日は撮ったるでー!」的なモード以外ではやっぱり野鳥の会長靴の手軽さは捨てがたい。

そう。要するに野鳥の会長靴の靴底がフェルトピンソールだったらいいのだ。それでアマゾンでこういう商品(リンク)を買って野鳥の会長靴の靴底に貼り付けることにした。





これはプロックスのウェーダー専用フェルトピンソールで野鳥の会長靴とはなんの関係もない。適合性がないことによる最大の問題はこのソールの踵の部分の上面が盛り上がっていることで、それを平らにしなければ野鳥の会長靴に貼り付けられない。そこでその台状に盛り上がった部分をカッターで削って平らにし(これが結構大変だった)さらに野鳥の会長靴の靴底のトレッドもできるだけカッターで削って凹凸を減らした(真っ平らにするほどの根気はない)。そのあと製品の説明書通り付属の接着剤で両者を貼り付けたのだが、1本目のチューブで右足のソールを貼り付けたあともう一本のチューブで左足のソールを貼り付けようとしたらチューブの中身が半分しか入っていなかった(残りのスペースは空気!)。やむなくアマゾンに別の接着剤(リンク)を注文してその日の作業を終え、翌日接着剤が届いたので左足のソールを貼り付けて終了。十分乾燥させてからテスト的に川べりを歩いてみたのが冒頭に貼り付けた動画だがソールは剥がれることもなく、かつ期待通り滑り止めの働きをしてくれたのでホクホク顔で帰宅。


さて野鳥の会長靴でもう一つ困っていたのは長靴の丈。一般的な作業には充分だが川では水面が膝上までくることがしばしばだ。なんとか長靴の丈を伸ばすことは出来ないものか。太ももが入る筒状の樹脂のようなものがあればそれを接着剤で長靴に継ぎ足せばいいのだと思い、
筒でなくても袋の底を切れば筒になるではないかという発想から見つけたのがこの製品(リンク)。



これは釣りのリールなどを入れる防水巾着袋なのだが長靴の延長筒にするにあたっての問題はサイズ。長靴の上端をペチャンコにすると幅が22cm。しかしこの製品の幅は20cmしかない。やむなく長靴の上端の一端を接着剤で貼り付けて内周径を縮め、長靴の上端内面の円周に接着剤を塗って巾着袋を貼り付けた。





サイズ的にキツい(笑)。もう一度同じものを作るとしたら筒であることにこだわらずにこういった(リンク)PU(ポリウレタン)レザーを買って、長靴の上から筒状に巻いて貼り付ける方法を採用するだろう。ちなみに接着剤は先程紹介した阪神素地 S-58 フェルト交換用接着剤を用い、つなぎ目や巾着の縫い目を被覆するためにLOCTITE(ロックタイト) 黒ゴム接着剤(リンク)を使用した。






ポリウレタンレザーは伸縮性があるので膝の曲げ伸ばしがしやすい。
以上需要はほぼないと思うが自分の覚え書き的に書いてみた。

翌日追記:これで野鳥の会長靴はほぼ完成だが靴底とフェルトソールの隙間をロックタイト(リンク)で充填した。この接着剤は非常にすぐれものだ。耐水性が高く接着後はゴムの柔らかさがあり充填や盛りといった使い方にも対応できる。そもそもフェルトソールと靴底の接着もトレッドの隙間を埋めるという観点からするとフェルト用接着剤よりもこの接着剤を用いたほうが良かったのかもしれない。








2 件のコメント:

  1. 川には入りませんが面白い解説でした。なんでも自分でやる開拓者精神が旺盛ですね。アマゾンのPrime Videoでのドキュメント「氷点下で生きること」が
    似た感じで面白いですよ。全部で8シリーズもあるので全部見るのは大変ですが。この冷えている中で川にはいって足がしもやけになりませんか。

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    1. ありがとうございます。面白そうなドキュメントですね。今度是非見てみます。僕の住んでいるところはたまに川に氷が張る程度でそこまで寒くはないのでしもやけは大丈夫です^^。

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