「ダンナー。マクロのダンナー」
「おう、ハチじゃねえか。」
「だんな、今日はどこへお出かけで?」
「うむ、今日は箕面市にある勝尾寺へ行こうと思ってな。」
「なるほど、秋の紅葉をカメラで撮ろうって寸法ですね!」
勝尾寺(かつおうじ)は車で50分位。途中には野生のサルのいる箕面の滝もある。
「天気予報では晴れのち曇り、曇る前にいざ、出陣!」
「だんな、相変わらず大げさですね」

というわけで勝尾寺に到着。
「さ~写真を撮るぞー! おや、なにやら冷たいものが頬に」
「旦那、雨が降ってきましたね。天気予報じゃ曇りのはずだったのに」
「そんなばかな!」
「おまけに風が吹いてすこぶる寒い。あ~こりゃ寒いや。
あ~あ。旦那のお伴なんかするんじゃなかったな。
風邪なんかひいた日にゃ、眼もあてられねぇ」
「つべこべ言わずについてきなさい!はっくしょーん!」

「旦那、立派な仏像ですね。あれっ、旦那?旦那はどこへ行ったのかな?」

「旦那!みんな熱心に仏像やお寺を見て回っているのに、どうして普通の参拝ルートをはずれてこんな細い道に入っていくんですか!」
「ハチ、わしは寺社仏閣には興味はない。わしは紅葉を撮りに来たのじゃ」
「あ~、なんて罰当たりなんだ!普段からこの人にはまじめな信心の心が欠けていると思っていたが、まったくあきれたもんだ」

「おお、美しい紅葉だ。ハチ、あの屋根はどけられないもんかね」
「あ~なんて恐ろしいことを!今に天罰が当たりますぜ」

「おいハチ、雨が止んできたぞ!雨が!」
「はいはい、何度も言われなくてもわかってますよ。雨は旦那の上だけじゃなくておいらの上にも降ってるんだから、止んだことくらいあっしもわかってますよ」
「ハチ、雨が止んできたぞ!」
「まだ言ってるよ」

「ハチ、見なさい!赤いもみじだ」
「あ~そうですね。あれ、接写レンズを取り出した。
はー(ため息)。しばらくここを動かないつもりだな。やれやれ。」


「おお、これはブログでyuukoさんに教えてもらったナンキンハゼだ。
ハチ、覚えておきなさい。これはナンキンハゼというのだ。
ナンキンハゼ。」
「あ~、人から教えてもらった知識でどうしてそんなに威張るんですか」

「ハチ、見なさい。ナンキンハゼの紅葉だ」
「旦那、あっしはもう寒いんで、はやく休憩所へ行ってうどんを食べたいんですがね。」
「ナンキンハゼの紅葉とはなかなか見事なものだな」
「旦那、うどん。」

「ハチ、見なさい。銀杏の黄葉だ!」
「ずいぶん大きなイチョウの樹ですね、旦那」

View large「ハチ、見なさい。銀杏の落ち葉に雨粒が乗っているぞ」
「あ~。旦那、またえらいものを見つけちゃったな。
ご自慢の手作りのマクロレンズを取り出しちゃったよ。
いつになったらうどんにありつけるのやら」
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「ハチ、そろそろ戻るとするか」
「そうこなくっちゃ」

「旦那、このお寺にはやたらとだるまさんがありますね」
「だるまも撮ってみよう」
「いや、あっしはただこの寺にどうしてこんなにだるまがあるのかを知りたいだけなんで」
「ハチ、この寺には本当にだるまが多い。」

「ハチ、見なさい。鐘楼の足場にもこんなにだるまが」
「旦那、この寺にはどうしてこんなにだるまがあるんですか?」
「鐘楼の足場にこんなにたくさんだるまが!」


「旦那、ここにこんなにだるまが!どうしてこの寺にはこんなにたくさんだるまがあるんだろう」
「ハチ、見なさい。こんなにたくさんだるまが!写真を撮っておこう。」
「このひとは人の話を全く聞いていない」
View large「ハチ、だるまを撮っているうちに何だか今日のわしの行動をだるまに非難されているような気がしてきたんだが、気のせいだな」
「旦那、そろそろうどんを食べませんか」
「だるまの写真を撮っておこう」
「は~(ため息)」