2011/05/21
水辺より
身体が全体にとても重い。
自分の手足を持ち上げるのもなんだか重たい。
これはきっと運動していないせいだろうと思ったおととい。
朝11時にカメラを持って家を出た。
山を登って峠を目指す。
そして峠を超えて山を下ったらどこに出るのだろう。
息を切らしながらやっとのことで山の頂(いただき)に出た。
山道を下って行くと老婆が登ってきたので会釈した。
知らない土地。
iPhoneのGPSで現在地を確認し
家に帰る近道を確かめながら歩いていると検問所みたいなのがあって
炎天下にひとり立っていた茶髪の青年が申し訳なさそうに言う。
「通行止めなんです」
地図のコピーを貰って確認すると
山の北側を大きくループする迂回路が示されている。
それってひょっとしてもう一度峠を超えて同じ道を帰らなくてはならない?
えーと、時計を見ると午後3時。
すると僕は4時間山道を歩き続けて来たわけで
えっと、それはつまり
もう一度同じ道を帰らないといけないんだな。
と事態をまだ十分飲み込めない裸の大将みたいに呟きながら
気をとりなおして再び僕は歩き出す。
途中これ以上歩けないと思ったころ
セメントで出来た丸太のベンチを野原で見つける。
僕は帽子もカメラも放り出して仰向けにベンチに寝転んだ。
はるかに空が高い。
どこからかやさしい小川の水音と鳥の声が聞こえてくる。
若葉が蒼々と茂る高い木々を爽やかな春の風が吹き抜けていく。
おお、素敵な気分!
だがはたして僕は家に帰れるのだろうか。
しばらく休んで再び歩き始める。
休み休み峠を超えて下りの山道に差し掛かり
山の湧き水で喉を潤わしながらさらに山を下る。
下半身の感覚がなくなってきたらしばらく休憩して
また歩き出す。
夕暮れにようやく家にたどり着く。
7時間かけて20キロ歩き続けた金曜日。
吐き気と腹痛とこむら返りに襲われながら眠る。
写真は山道や麓の池とその水辺です。
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とりあえず、
返信削除無事のご帰還、お慶び申し上げます (^_^)
心身が疲れたときには、逆に体をいじめる事が必要なのですね。
相変わらずの痺れるような写真楽しませていただきました。
久しぶりに「引きの写真」を見て、DP1くんを持っていったのかと思いましたが、exifでE-P2と確認。
E-P2いい仕事しますね !
初夏の雰囲気を堪能しました。
こんばんは。
返信削除1枚目から引き込まれました!なんて美しい~♪
全体的に綺麗なだけではなくて、
そのときのshinさんの感動がこちらにも伝染?して、、、
撮影者の感動が伝わる写真というのは魅力がありますね。
7枚目の奥にヤマボウシ(今度こそw)の引いた水面のと、
最後の紅葉の実の赤いのと、この3枚が特に好きですが
どれも素晴らしい、さすがです!!
ひたすら歩くって、いいものだな、うらやましいなと思いました^^
私は今日一日にひたすら机に向かって、
疲れたら床に突っ伏して、起き上がるとダンベルで肩をほぐすという
なんとまあ、ロマンチックな日曜日でしたw
t-s-wegnerさんありがとうございます。写欲は低いままなので更新頻度は今後もゆっくりと思いますがとりあえず(^_^)。
返信削除>久しぶりに「引きの写真」を見て、DP1くんを持っていったのかと・・・
うん、僕も写真を撮りながら「しまった。DP1を持ってくるんだった」と思ったんですが後の祭りでした。
持っていったら持っていったで使わなかったりするんですよね。
cahier-bさんありがとうございます。
返信削除>私は今日一日にひたすら机に向かって・・・
あ、実は僕も今日は同じような過ごし方でした。
基本的になんでもやり過ぎる傾向があります。
適度というのが出来ない。
そういうのをばかと言いますね(笑)。
水辺の写真はいずれも絵画的で、驚きました。
返信削除こんな写真が撮れるんですね!
こころの平静を取り戻せましたm(..)m
photosukeさんありがとうございます。
返信削除シャープネスを上げることでざらつき感が出て
それが油絵のマチエールを連想させるんだと思います。
面白い効果ですよね。
たとえば4枚目の謎めいたたたずまい。
返信削除そして水面のダブルイメージショットの夢想を誘う幻惑感。
shinさんだけにしか表現できない世界ですね!!
まるでトレジャーハンターのような求める気持ちの強さも感じられて
とても深い世界に魅せられました。
hiroshipsさんありがとうございます。
返信削除しーんと静まり返っていておぞましくて怖くて
じっと見ているうちに狂気の冷たい風がそよいでくる。
そんな写真が撮りたいんだと思います。
なかなか撮れないんですが(笑)。