最近ではインスタ映えのために高い崖の上で自撮りして転落死したり列車から身を乗り出した自撮りで頭が吹き飛ばされたり、あえて犯罪を犯してYouTubeにアップしたりするひとのニュースを目にするようになった。ある報告によれば世界全体で2008年から2021年のあいだに自撮り中の事故で379人が亡くなったという(リンク)。
例えばあるひとが今の自分には到底叶えられないようなことを望んだとする。それは例えばとてつもなくバズりたい、素晴らしい小説を書きたい、素晴らしい曲を作曲したい、この世のものとは思えない写真を撮りたい、手の届かない人と一つになりたいとか、まぁなんでもいいんだが、そしてそのためには悪魔に魂を売りわたしてもいいと考えたとしよう。この場合悪魔に売り渡す「魂」とは何なのだろう。そして魂を売り渡すと人間はどうなるのだろう。
とてつもなく叶えられそうもない夢を実現しようとするとひとは具体的にどのような行動を取るだろう。一言で言えばそのひとは常識外れなことをするだろう。常識では届かないものを手に入れようとすれば常識外れなことをするしかない。
ひとは健全な状態にいるときには頭と心と体は良い関係にある。人間の頭と心と体のどれかが常識外れなことを始めれば三者の統合は失われ人間としての存続が危うくなる。
「売春して何が悪い?売手と買手がハッピーなら誰にも迷惑はかけていないじゃないか」と、まぁこれは理屈だが頭(理屈)が独走すると心と体が悲鳴を上げ、トップアスリートのように体が独走すれば頭と心が悲鳴を上げ、恋の奴隷で心が独走すれば頭と体が悲鳴を上げる。
以前僕は「魂」というのは無意識の中で頭と心と身体の統合性を担っている場所のことではないかと書いた(リンク)。ひとがなにか手に届かないものを希求しようとすると頭と心と体の統合性が失われる。その現象を隠喩的に表したものが悪魔に魂を売り渡すということかもしれない。とかなんとか言いながら最近は僕もカヤックでの自撮りにハマっているから我ながら注意が必要だ。まぁバズる気配は微塵もないが。
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