2011/02/08

ディグニティ

内田樹と伊丹十三をつなぐもの、それは彼等の虚の中心に存在する「父性」である。
といきなり言い切って話を始める。
伊丹十三が映画監督であった父伊丹万作の強い影響を受けていたという言説に馴染みがなかったわけではない。
だがそれは僕にとって彼を理解する上でこれまであまり重要なファクターではなかった。

だが、けさ朝まだきに布団の中でまどろみながら、伊丹十三の中心にあって彼の言動や作品やスタイルを決定していたのは実に父性であるという確信が天啓のように閃いたのだ。
その思いつきが如何に正鵠を射ているかについて皆さんにご理解いただきたいのは山々であるが、
納得していただくだけの言葉をまだ思いつかない。
それでそのまとまらない思いをそのまま言葉に綴ってみる。

伊丹十三から連想する言葉を書き連ねてみる。
筋目を通す。
ディセンシー(礼儀)。
ディグニティ(品位)。
すがしさ。
潔さ。

こういった言葉の中心には「父性」がある。
そして彼は彼自身が自ら達し得ない父性に近づこうとする円運動の中で、
彼自身は無類の反射率を有する石英の鏡として強い父性の煌めきを僕たちに投射する。
だが彼自身は父性をつかむことの出来ない一枚の鏡に過ぎない。
何故なら父性とは彼の虚の中心にあるトラウマだからだ。

内田樹師匠の虚の中心にも父性があるような気がする。
これは僕の中ではまだ言語化できない。
そして例えばビートルズのジョン・レノンの虚の中心が「母性」でありオノ・ヨーコがその代理表象であったことや、母性が虚の中心であった時代の憑代をジョン・レノンが引き受けていたことを考えると、今の時代が要望する虚の中心は次第に父性に移行しつつあるように思う。

あー、例によって間違いだらけだと思います。
言葉の使い方も含めて反論に対して抗弁する言葉を持ちません。
放置して下さい(笑)。

11 件のコメント:

  1. こんにちは、shinさん。
    私はこのところ、こちらを経由して写真関係のブログなどをちょくちょく歩いています。私は伊丹十三さんや内田樹さんのことはよく知りませんが、shinさんの写真やコメントからは、切実に溢れ出くる「紳士的な心性」があると私は思います。そして、それに触れる者を沈静させようとする良いちからもあります。
    現代日本に欠如しているものは「父性」そのものだと、私は思います。
    自戒をこめて、私も生かされていかねば、と思います。それでは、また...

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  2. hiroshipsさんありがとうございます。
    過分なお言葉です。
    僕自身父性についてはまだ手探りな状態ですが、
    僕の文章や写真がそれを見ていただく方にいくらかでも良い印象を提供出来ているとしたら
    それは伊丹さんや内田師匠やその他多くの先達からの贈与によるものだと思います。
    暖かいお言葉感謝です。

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  3. コメント入力に誤字・脱字が絶えないので申し訳ありません、shinさん。
    特に上記の私のコメント中の「沈静」は「鎮静」が適した表現かと思いますし、
    「溢れ出くる」は当然「溢れ出てくる」なんだろうし、などなど...
    hiroshipsはもっと推敲してから投稿しないとイケマセンね。
    話は飛びますが、私は1980年頃までは生粋の神戸っ子だったので、
    塩屋ブルーといったワードはとてもキュンっと来ました。
    こちらは他にもヒットポイント満載なブログなので、
    また、おじゃましないようにおじゃましますね。
    追記:ブレンデルの23番はマリナーとのセッションですよね?彼は素晴らしいですね。そういう私はグルダとペライアで天国状態でした、その昔...

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  4. すみません、放置してくれって書いてあるのに。
    このお二人にまつわる父性については私には判断する材料が乏しいのですが、
    伊丹氏がご長男の名前をお父様のそれそのままに名づけたというのは
    時代的な習慣の名残が僅かにあるとしても、ただならぬものを感じます。
    「パパ・ユーアクレイジー」の訳を手掛けたというのも気になりますね。

    ところで、私のshinさんに対する第一印象は写真技術を極める人…、
    だったのですが、ときどき突然に文学的な話とか出てきて
    「ど、どうしたんだ、急に……」と思ってましたが(爆)、
    過去ログを拝見して私の認識が間違っていたことに気づきました。
    書評が面白いですね~^^
    とくに臨済録についての
    >「丁寧」とは、AとBの間を限りなく細分化して、その一つ一つの枡に自分を入れていくことでリアルを取り戻す試みである
    この表現はですね、落ち処にストンと収まってくれるカンジが実に色っぽい(笑)
    こういう状態が連続すると私にとっては官能的ということになりますがw、
    「臨済録」には官能の予感がするので読んでみます^^

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  5. hiroshipsさんありがとうございます。
    >ブレンデルの23番はマリナーとのセッションですよね?
    はい。僕はブレンデル=マリナーが好きでモーツァルトのピアノ協奏曲の全集を持っています。
    グルダもいいですよね。僕が持っているグルダはモーツァルトのピアノソナタK331, K333, K545だけですが、
    iPhoneに入れて時々車の中で聞いています。
    塩屋ブルーはいい色ですよ。
    実は最近愛用していたモンブランの149をなくして落ち込んでいます。
    う~、誰か見つけてくれないかな・・・。

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  6. bouquet-nさんありがとうございます。
    臨済録はいいですよ。僕はワイド版岩波文庫を買いました。
    官能的かどうかはわかりませんが、いくら説教をしても悟らない弟子達に苛立つ臨済禅師が
    終始一貫怒鳴りまくってます。
    そういう本です(笑)。

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  7. コメントしよう、しようと思っていました。
    伊丹十三さん今まで読んだことはないのですが、
    このshinさんのエントリーで、とても興味がわいてきています。
    従いまして伊丹十三さんはわかりませんが、
    shinさんと内田先生に共通して、私がおぼえるのは、
    「男の子であったことを覚えている大人のヒト」という感覚です。
    これも旨く説明ができないのですが・・・

    149は見つかったのですね よかったです^^
    でもM1000もとても良いと思うのです。ウフフ。

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  8. paradisさんありがとうございます。
    伊丹十三、おもしろいですよ。
    女たちよ!かヨーロッパ退屈日記のどちらかでも立ち読みしてみて下さい。
    再び女たちよ!もいいです。

    149君は洗濯機の中から出てきました。
    見つかってすごくうれしかったです。
    気持ちはすでにM1000に傾いていましたが(笑)。
    いろんなペンを経験したくなって。
    実は今日もいまし方プラチナのミュージックという万年筆をポチッとしたところです。
    やっぱり僕はスタブっぽい(縦が太くて横が細い)字にあこがれています。

    >男の子であったことを覚えている大人のヒト・・・。
    ありがとうございます。
    中身は16歳の時のまま止まっています(笑)。

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  9. 明日、本は購入してみます、楽しみです。

    縦細横太は字が綺麗に見える気がするので、私も好きです。
    ミュージックの感想をまた教えてください。
    私は、ペリカンのイタリックボールドで懲りたのですが、
    最近コンウェイ・スチュワートにファイン/ミディアムイタリックというニブがあるのを知り、
    興味津々です。。

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  10. 間違えてしまいました、縦太横細 でした・・
    ごめんなさい。

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  11. 僕は悪筆なので自分でボールペンで書いた字を見るとうんざりしてしまいます。
    仕事の都合上公文書的な記述は避けて通れないのですがついついおっくうになってしまいます。
    でも万年筆だと何とかサマになるので最近はよく万年筆で書いています。
    paradisさん万年筆や文房具にすごく詳しそうですね!

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