2012/01/03

銀色の美少女を救出せよ。

Olympus OM-1
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Olympus OM-1
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Olympus OM-1
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「カメラが欲しい」(尾辻克彦著)という本には
著者の赤瀬川原平さんが危うく破壊されかけたニコンFを救出する話が載っている。
(この本はすでに絶版だと思うけど、世のカメラおたく諸兄の琴線を掻き鳴らすこと請け合いだと思うので
「それはオレのことか?」と心当たりのある人は迷わずお買い求め下さい)
その、危うくニコンFを蹂躙と破壊から救出する話のタイトルが「銀色の美少女を救出せよ」。

で、僕も一人の美少女を救出したので今日はそのお話。
4年前に今の職場に入職してしばらくして
医局の背の高いスチール製の本棚の上に、埃を被ったカメラがあることに気が付いた。
手にとって見るとOlympus OM-1。
当時まだカメラに興味のなかった僕でもその名前くらいは知っている。
コンパクトな一眼レフとして一時代を画し、今でも隠れファンの多いオリンパスのベストセラー機。
レンズにはリングフラッシュが付いていたから、たぶんオペ検体などを記録するために購入したのだろう。

それっきりそのカメラのことは忘れていたけど
年末に医局の模様替えがあって、例の本棚を医局から運び出すという話になった。
医局の秘書さんにそのカメラに見覚えがあるか尋ねたら
10年以上務めている彼女も知らないという。
病院の医者は結構入れ替わりがはやい。
おそらく以前勤めていた外科系のドクターが退職するときに
捨てるに捨てられず本棚の上に置いて行ったのだろう。

埃を被っていかにも見捨てられた感じのカメラ。
秘書さんは「先生、良かったら持って帰って下さい」という。
多分僕がいらないといえばおそらくこのカメラは廃棄処分になるだろう。
ちょっと調べてみるか。

シャッターはおりるけど巻き上げが硬い。
カメラの裏ぶたを開けてみると乾燥したフィルムが中で破損していた。
取り出したフィルムの使用期限は1999年。
使われなくなって13年以上は経過しているようだ。
レンズはZUIKO AUTO-MACRO 50mm F3.5
キャップ無しでむき出しになっていたためレンズの表面に油っぽい埃や虫の羽が付いていて
ファインダーを覗いてもほとんど何も見えない。
本体側のレンズは綺麗で絞りは問題なし。ヘリコイドの動作もスムーズ。
うーん、どうしよう。
ま、取り敢えず持ち帰ってみるか。お正月だし。

オリンパスのマクロといえば50ミリF2が有名だけど
家にあった「保存版実用中古標準レンズ100本ガイド」という本にこのレンズのことが載っていて
「描写性能もスバラシイ。ボケに関しては、兄貴分ともいえるF2タイプ同様の二線ボケ傾向が見られるが
解像力は抜群で、ピント部分の力強く緻密な描写は絶賛に値する。
OMシステムの中で、ボクはF2が高級でF3.5は廉価版という見方をしていたので、このレンズは割高と感じていた。
でもそれは単なる偏見に過ぎないことを使ってみて初めて知ったのだ」(島田和也氏)とある。
つまりこのレンズの特徴を要約すると、ボケの美しさはF2に譲るけどコンパクトで解像力抜群ということらしい。

でもこのレンズの汚れをどうするか。
修理に出したら6000円以上はするだろう。E-P2に装着するためのマウントアダプターを買ったらあわせて1万円。
どれくらいキレイになるかわからない埃まみれのレンズに対する出費としてはちょっと微妙。
ま、どうせ捨てられる運命だったレンズだし、自分で清掃してみるか。
レンズの外側の汚れは無水エタノールで丁寧に拭って
レンズ表面はピンセットに巻いたシルボン紙に堀内カラーのHCL LENSクリーナーを染みこませてそっと丁寧に拭く。
何度もシルボン紙を交換しながら拭くうちにレンズがかなりキレイになった。

OM-1本体は今のところ修理に出す予定はないけど、マウントアダプターが届いたらさっそくこのレンズをカメラ散歩に連れだしてみよう。

2 件のコメント:

  1. 明けましておめでとうございます。
    綺麗なカメラですね。
    清掃して使ってあげて下さい。
    フィルムは、66のみにしておりましたが、
    最近35mmで再び撮り始めました。
    OM-1は友人が愛用していて、コンパクトさにいつも
    見ほれていました。
    古いカメラを弄るのが楽しくて、最近修理教室に通い始めました。

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  2. swingphotoさんあけましておめでとうございます。
    OM-1。手にしてみるとほんとにコンパクトでLovelyなカメラですね。
    本体はシャッター速度に難がありそうなので修理が必要ですが
    取り敢えずレンズだけでも救出しようと思います。
    >最近修理教室に通い始めました。
    あ、それ、面白そう!
    僕も今の仕事を引退して時間ができたら習ってみようかな。
    今年もよろしくお願いします。

    返信削除

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