2017/03/11

天文台

observatory


アバルトが初めての車検から戻ってきた。
一週間振りに乗るアバルトの印象は「なんちゅう凶暴なクルマや。わしはこんな凶暴なクルマに乗ってたんか」というもので、それでもやっぱり楽しくて久しぶりにドライブに出かけた。
買って三年間ずっとスポーツモードだったが、田舎道をのんびり走りたくてスポーツモードをオフにして走行。
以前はスポーツモードオフだと走りがかったるくてすぐにオンにしていたが、スロコンのおかげで走りはそれほどダルにならず、ステアリングが軽い分いい感じで走り続けた。

どこへ行く当てもなく走っているうちに山道を走りたくなって自然と行き先は大野山に決定。
つづら折れをどんどん登って山頂に着くと三月だというのに寒風が吹きすさんでいてなかなか寒い。駐車場にクルマを止めて歩いて頂上へ。そこで撮った写真が上の写真だけど、一応持って行っていたD800Eでも撮ったけど、なぜかiPhone6で撮った写真の方が気に入って、家に帰ってからその写真を加工してFlickrとブログにアップした。

この写真の仕上がりにはとんでもなく満足していて、自分で言うのも何だけど見るたびに感動している。
色のトーンが、それは中世の西洋絵画、ブリューゲルの描いた農民画やダビンチのモナリザや受胎告知の背景の色合いに似たトーンなんだけど、この炭のような黒と暗茶がなんともいえず美しい。そして遠くに光が当たっている天文台もいい。
自分の作った作品にはいつもそれなりに納得はしているが、まるで他人の作った作品のように感動できるのは稀だ。

これからもこんな作品を作りたい。スクエアがいいな。ハッセルなんかはどうだろう。ここしばらくライカM10やフジのGFXに心が揺り動かされていたけど、ハッセルでこの景色を撮ったらいいものが撮れるんじゃないか。
そう考えて以前ハッセル熱に浮かされていたときに買いあさった本を引っ張り出してきて読んでいるうちに、やっぱり自分はフイルムを現像に出して返ってくるの待つのは無理だと思い直した。
でもデジタルバックという手があるじゃないか、以前はとんでもない価格だったけどもうそろそろ安くなってるんじゃないかとネットで調べたらセンサーサイズがフイルムよりかなり小さい。大きいのもあるけど何百万もする。

うーん、ダメか。あ、しかし小さめのセンサーサイズでいいならGFXでいいじゃないか。そうだ、やっぱりGFXだ、というのでFlickrでGFXで撮られた写真を見てみたが、どれもパッとしない。何が気に入らないかというと、中判だ、中判だというわりに撮られた写真が僕のイメージする中判写真と違うのだ。
Flickrでみるハッセルの写真と何が違うかというと、中判独特の遠近感というか不思議な立体感がGFXで撮られた写真には感じられないのだ。なんというか、GFXの写真って35mmフルサイズのデジタル写真のちょっと大きいだけみたいな。いやもちろん画素数が多いだけ精細ではあるんだろうけど中判としてのありがたみがあまり感じられないのだ。

それならGFXにハッセルのVマウントレンズを装着すれば解決するんじゃないか、実際それ用のマウントアダプターも発売されだしたみたいだし。
いやしかし、35mmフルサイズよりちょっと大きいだけのセンサーサイズにハッセルのレンズを付けるだけならD800Eにハッセルのレンズを付けて四角に切り出せばいいじゃないか。そしてそれなら防湿庫に眠っているノリタの80mmF2のレンズを手持ちでD800Eに付けて撮ってみたらどうなるだろう。
それでそのとおりやってみたらそれなりの写真が撮れたけど、なんだかどんどん違う方向に行っている気がしてようやく思考と妄想の暴走列車が停止した。

寒風吹きすさぶ大野山山頂で、三脚立てて中判カメラをおっ立てて、あれこれやっている自分はやっぱり想像できない。
そもそも上の写真はiPhoneじゃないか。iPhoneでもこれくらいの精細さで簡単に撮れるのに。
そうだ、中判並みに精細に撮れるといえばシグマのDPシリーズじゃないか。
そうだ、今こそずっと買いたくてあきらめていた評判のいいメリルシリーズをコンプリートするタイミングじゃないか(僕はDP3Mをすでに持っている)。
それで今日DP1MとDP2Mを中古品で注文して妄念の暴走列車は本当に、最終的に停止した。
なんまんだぶ。

















6 件のコメント:

  1. いつも非常に深い感銘を受けながら拝見させていただいております。
    これまで自重しておりましたが、本日、初めてコメントさせていただきます。
    初めてのくせにいきなり厚かましい提案で恐縮ですが、shinさんには
    このカメラこそが最高の相棒になるだろうと思っております。

    http://www.hasselblad.com/jp/x1d

    メーカー提供のサンプル画像は愚にもつきませんが、
    こちら ↓ の試写画像は見るべきものがあろうかと存じます。
    https://www.flickr.com/photos/mingthein/sets/72157670009490992/page1

    突然、失礼いたしました(笑)

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    1. なかまちさんありがとうございます!
      実はなかまちさんが「なかまち記念公園」というブログをお書きになっていた頃ずいぶんお世話になっていました。
      なかまちさんの美しいお写真を見ながら、あぁ、僕もいつかこんな写真を撮ってみたいという思いでよく拝見させていただいていました。
      とりわけ寝ても覚めてもフイルムのことばかり考えていた当時、なかまちさんが書かれた2012/6/23付の「私のブローニーフィルム・スキャン法」は僕の唯一のブローニー判のNorita66のスキャナ取り込みのバイブルだったのです。いつかお礼のコメントを書かなければと思っているうちにブログが終了し削除されたときはショックでした。
      今回こんなかたちで直接なかまちさんからコメントをいただき飛び上がるほどうれしいです。その節は大変お世話になりました(やっとお礼が言えました)。

      今回再びハッセル熱が沸き起こったことで実は僕もX1Dのことをいろいろ調べていました。
      いずれV-mount用のマウントアダプターも出てくれば、僕も徐々にプラナーの80mmやマクロプラナーの120mmなどを買いそろえていけば楽しくなると思ったんですが、結局X1Dに強い魅力を感じなかったのはセンサーサイズがGFXと同じ43.8mm × 32.9mmでちょっと小さく感じたことと、GFXなら撮影の自由度がEVFのアングルファインダーなどでX1Dを上回っていると感じたからです。でもMing Thein氏の作例は目を見張るものがありますね!またしばらく悩み続けると思いますが今回DP Merrillシリーズを揃えたのでしばらくメリルで中判画質を追いかけてみたいと思います。
      兎にも角にも以前から尊敬していたなかまちさんに5年を経てようやくお知り合いになれたことが大変うれしく、これからもご指導よろしくお願い致します。

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  2. お晩でございます。
    ご指導だなんて、とんでもありません!
    ぼくのほうこそ、shinさんの芸術的なお写真に加えて、写真に取り組まれるご姿勢、取り分け「写真論」と「撮るヒント」には
    本当に深く深く感銘しておりました。これを機にちょくちょくお邪魔させていただければ幸いです。

    ブローニーフィルム・スキャンの件、覚えていてくださって感激しています。ありがとうございます。
    それから、先日の記事、ライカをもって旅に出たいという、shinさんの切実な叫び、魂の叫びには心が震えました。
    少しずつコップに水が溜まっていき、堪えても、堪えても、もう堪えきれなくなって、遂に溢れ出てしまった水を
    拭くことも出来ずにじっと見ているのは、実はつらかったです。身につまされる思いでありました。

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    1. 昨年来の心的窮状をあられもなく吐露してしまいいささかはしたない思いです。まぁ僕のブログを見ている人も多くはないし、個人的なカタルシスも兼ねた記述はこれでしかたないかと(笑)。
      これからもよろしくお願いします。

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  3. 再びお晩でございます。

    >中判独特の遠近感というか不思議な立体感がGFXで撮られた写真には感じられないのだ。
    実はフジのカメラ全般にこの傾向があるように自分は感じていました。
    色合いと解像感に関してはまったくもって申しぶん無し。ですが立体感に関しては、
    そこに差す光の加減によって、ベタベタの塗り絵にもなれば、ハッと驚くほどの立体感が
    表現されることもあり、実に極端といいますか、扱いに苦労するように感じます。

    もっとも、写真表現において何を重視するかにより、評価も人それぞれで異なってくるとは
    思いますが.....

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    1. ハッセルにしてもローライにしても、ブローニー判で撮られた写真に僕は心地よい奥行き感を感じます。
      GFXは今年中に出る110mmF2が被写界深度がすごく浅いので作例を楽しみにしていますが、さてどんな絵を作ってくれるんでしょうね。

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