Leica M10-P Summaron 28mm F5.6
先日何でも鑑定団を見ていたら画家の故松田正平氏が自室に「犬馬難鬼魅易 ~犬馬(けんば)は難(かた)く鬼魅(きみ)は易(やす)し」という短冊を掲げていた。これは中国の春秋戦国時代に諸葛亮孔明が劉備玄徳の息子に教科書として与えた韓非子という書物に載っている言葉らしい。
中国の古代の王様があるとき絵の名人に尋ねた。
「何を描くのが難しいかね?」
すると画家はこのように答えた。「(そこらにいる)犬や馬が一番難しゅうございます」
不思議に思った王様が「じゃあ聞くがお前が簡単に描けるものは何だね?」というと画家はこのように答えた。
「(見たこともない)鬼や化け物でございます」
要するに、珍しいものや見たことがないものは想像の羽根を広げて自由に描くことができるけれども、日常見慣れたものを目の垢を取り払って、新鮮な子供のような気持ちで見るというのは大変難しいことだと。実際松田正平氏の絵画は一見すると子供の落書きのようだが、生まれて初めて目が見えるようになったひとには世界はこんなふうに見えるのかもしれないと思わせるような驚きがある。
見慣れた景色を、驚きをもって見ることができるだろうか。
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