2019/07/28

シダの森とアンリ・ルソー

DSC_8274C6
Nikon D800E AF MICRO NIKKOR 2.8/55
 
 
僕はアンリ・ルソーの絵が好きで特に彼の熱帯の密林に描かれる植物たちの表情に果てしなく心惹かれる。
はじめて彼の絵を見たのは中学校の美術の教科書だった。夕暮れに密林で黒人がジャガーに襲われている絵だった。凄惨な場面なのに絵全体が醸す雰囲気はとても静かで冷たく、影絵のような黒い男に襲いかかるジャガーがまるで大きな猫がじゃれてもたれているだけのように見えるのがかえって不気味だった。そして様々な不思議な形をした植物がこの出来事を取り囲んでおり花々は喜ばしげに咲いているのだ。
なぜこんな密林に男がひとりで迷い込んだだろう。こんな密林の中で誰にも知られず男は食い殺されてしまうのだ。その男の死にもまして中学生だった僕の心をドキドキさせたのはやはりエロスとタナトスが渾然となった妖しい雰囲気だったのだと思う。
 
 

 
 
 


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