2021/10/22

心に残る写真





James Popsys氏の動画"8 photography tips I've learned in the 8 years since I started taking photography"(写真を始めてからこれまでの8年間のあいだに学んだ8つの秘密)。その3つ目のテーマが"Image Quality vs Photo Quality"だ。

写真の良し悪しを決める要素にはImage QualityとPhoto Quality(画像の品質と写真の品質)があって、Image Qualityというのはカメラやレンズの選定やピントや露出や画質などの技術的側面でありこれらはしばしばカメラ雑誌に取り上げられよく知られているが、それと同じくらい大切であまり知られていないのがPhoto Qualityだという。そしてPhoto Qualityとはなにかというとその写真に"story(物語性)", "emotion(情動性)", "how to pose questions(ナゾの提示)", "how to make a viewer curious(興味の喚起)"があるかどうかだと。
動画ではこのセクションについてそれ以上述べられていないがとても興味深い案件なので少し掘り下げてみたい。

上手な写真なのに全く印象に残らない写真もあれば、技術的に高くなくても心に残る写真がある。後者の魅力はその写真の持つ「ストーリー性」、「情動性」、「ナゾの提示」、「興味の喚起」などと関係がある。例えば女性の撮る写真は男性の撮る写真より魅力的なものが多いが、それは一般的に女性が生きているストーリーや情動の世界が自然と写真に反映されてPhoto Qualityが高くなるからであり、これに対し男性はストーリーよりも原因、情動よりも情報の世界に生きておりImage Qualityは高くてもPhoto Qualityが低い傾向があるからではないか。いや、それはあくまで一般論。例えばハービー・山口さんのような一流の写真家の作品の魅力はPhoto Qualityの高さと関係しているように思う。

最近僕はGFXという高画素セミ中判デジタルカメラを購入し、一億画素に耐えうるレンズ群を揃えたことでいよいよもってImage Qualityを追求することに喜びを感じている。しかし僕の昂ぶる高揚感とは裏腹に撮れた写真に対する評価はハナハダ芳しくない(笑)。自分としてはこれまで達成できなかった高いImage Qualityに近づきつつあることに満足しているので評価が低くても気にならないが、いや低いのは気になるが(笑)、自分が「すごいすごい!」と感じて幸せなのに一般の評価とのあいだに大きなギャップがあるのは僕の写真にPhoto Qualityが欠けているからだろう。べつに一般受けする写真を撮るために方針を変える必要はないが。

以前書いた「迷子にならない方法」という記事(リンク)のコメント欄で取り上げたsparth氏のLifeという作品群(リンク)もとても魅力的だ。まるで映画の一場面を切り取ったかのような彼の写真は物語性とはなにかを考える上でとても参考になる。ヒトを撮る場合絶妙なタイミングでシャッターを切ることでその写真に物語性を与えることができる。しかし僕のような主に風景やマクロを撮る場合どうすれば写真のPhoto Qualityをアップできるだろう。
はたして風景写真に"story", "emotion", "how to pose questions", "how to make a viewer curious"を付与することは可能だろうか。Photo Qualityを意識しながら光と影と構図を考えること。それが、今のところ僕の考えうる唯一の答えだ。





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