車や船や飛行機といった乗り物の傾きを表現する際にロール、ピッチ、ヨーという単語が使われる。X軸を中心に回転するのがロール。Y軸がピッチ。Z軸がヨーだ。イメージしやすいように頭の動きで説明すると
「はてな?」と首を傾げるのがロール。「うんうん」と頷くのがピッチ。「いやいや」するのがヨー。
さて、カメラの世界でカメラの傾きを表現するときに使われるのはパンとチルト。
パンはヨーでチルトはピッチのことだ。
チルトとパンはカメラ業界では一般的だがロールに相当する単語は僕も知らない(※)。
ロール→?
ピッチ→チルト
ヨー →パン
するとカメラ業界では「ロール」は一般的でないのか?
しかしギア雲台ではロールの役割のギアがちゃんと存在する。
Leofoto G4で説明すると、最低部のAは雲台全体を回転させるのでパン=ヨーを担当し、Bはチルト=ピッチを担当し、Cは小首をかしげるのでロールを担当している。
追記:Bをロール(スイング)、Cをチルトに使うことも出来る。
もし三脚のトッププレートが水平出し出来ているなら、そこからのカメラの動きはパンとチルトだけになって話は簡単だ。しかし三脚はデコボコの地面に3本の足で立っているので普通に立てればトッププレートは傾いている。その上に乗せるギア雲台も当然傾いている。だからこの傾きを修正するためにBとCのギアを回して修正する。
修正が終わったらギア雲台の一番上のパンニングクランプにカメラを乗せる。
さてここで問題が発生する。
パンニングクランプでカメラをパンさせることはできるが、チルトはどうするか。
ギア雲台が傾いているのでチルトさせようとBを回せば斜めにチルトしてしまう。だから垂直にチルトさせたいならBとCのギアを連携させなくてはならない。それは加減がとても難しい。Bでチルトさせる→Cで傾きを修正する→チルトがズレたのでBで修正する→またCで傾きを修正する→以下省略。
この問題を回避するためにはレベラーとかレベリングベース↑とかいうものを三脚とギア雲台の間にはめて、これであらかじめギア雲台を水平にしてしまう。そうすればギア雲台で好きなようにパンもチルトもできる。
さて長々と今日の記事を書いてきて何を言いたかったかというと
左がレベラー+ギア雲台+パンニングクランプ。右がボール雲台+パンニングクランプ。
それぞれのメリットとデメリットを考える。
レベラー+ギア雲台+パンニングクランプ
メリット
- 構図の微調整が可能
デメリット
- 背が高い(左16cm、右10cm)
- 重い(左1.1kg、右0.88kg)
- 構図取りがちょっと手間(ギアをグリグリ)
- 求める構図のためにどのギアを動かせばいいかちょっと迷う
ボール雲台+パンニングクランプ
メリット
- 背が低い
- 軽い
- 構図取りはあっという間
- ギアの数が少ないので悩まない
デメリット
- 構図の微調整が不得手
- ボールで水平出ししたあとチルトのときに少し水平がズレる(レベラーなしのときのギア雲台よりは修正は容易?)
以上、ギア雲台にはレベラーは必要だが、ボール雲台にパンニングクランプを付けたらレベラーはいらない!という知っているひとにとっては当たり前のことに気づいて、そのことにまつわるもろもろを書き連ねてみただけの記事でした。
追記:上の2つの方法のデメリットを一挙に解決する雲台としてUniqballという製品があるがこれにもデメリットがあって、結構高価、ギアを締めるときにすこしブレる、操作に慣れが必要、望遠レンズなどの重い機材を乗せるとボールの微調整に難渋する。
というわけですべての希望を叶える機材というものはなかなか見つからないわけで、自分に合った機材をいかに手懐けるかということなんでしょうね。
(※):スイングと言うみたいです(後日記)
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