2021/04/20

シャガを撮る


#161
Nikon D800E Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/50


ハサミで細かく切れ目を入れたフリルのような花弁や細い指を妖しく伸ばした雌しべ。シャガは夜の白鷺のようだ。この時期になると竹藪の暗い道端に群生するシャガが一斉に開花する。これまでなんども試みたが思うように撮れなかったのは四方に広がるフリルを捉えきれなかったからだ。じゃあ何枚も撮って合成してみたらどうだろうということでやってみたのが上の写真。

マクロプラナーはマニュアルフォーカス。一番手前のフリルから始めて一番うしろまで、フォーカスリングを僅かずつ回しながら18枚撮ってPhotoshopで合成。これで完成ならいいが、たいてい合成の過程でボヤケた部分が発生するのでシャープに合焦している部分を貼り合わせる。それでも花弁の表面の一部にボヤケた領域があるのはそこがショットとショットの間だったから。

マクロプラナーはブリージング(breathing)が大きい。ブリージングというのはフォーカシングによって画角が変わってしまう現象。この一連のショットでは一番向こうのショットに比べて一番手前のショットの画角が広い。それを重ね合わせると手前のショットの周囲が無駄になるだけでなくここを参考にPhotoshopが偽画像を作ってしまうのであらかじめこの周囲の余りの画像を削除しておいて合成する。しかしそうすると画角の狭い写真になってしまうので合成後に画角の広い一番手前の写真の周囲を切り取って合成後の写真に貼り付ける、といったことを細々手作業で仕上げていく。(このブリージングに関する記述は大幅に間違っている可能性がありますので信用しないで下さい)。さらに花弁の先端や雌しべの精細感を強調するために繊毛のような部分だけ手作業でハイパスフィルターをかける。この行程が一番時間がかかった。

その他にもここに書ききれないほど色々手を加えているから、まぁ自慢のように聞こえるかもしれないがこれはイバルためじゃなく自分が思い描いているイメージになんとか近づけたいという「あがき」の集積だ。終わってやれやれ。

追記:三脚はLeofotoのRanger LS-224Cを使ったがこの三脚は開度の選択が3つしかないので構図作りに苦労した。マクロを撮るときは開脚度を自由に設定できるGitzo Explorerにすべきだったと反省。





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