2021/07/25

Peak Design式レンズホルダーを自作

 
レンズ交換の際に手が滑ってレンズを落としてしまう。
今まで何度ヒヤッとしたことか。
先日もGF63mmが土手を転がり落ちて、運良く木の枝に引っかかって止まったが、あそこに木がなかったら池の底に沈んでお陀仏だった。

レンズ交換のリスクを極力減らしたい。
フリップサイドのリュックはレンズを地面に置かずに駅弁立ち売り方式でレンズ交換できて便利だが、うっかりチャックを全開にしてしまうと中身がごっそり落下してしまう。もうすこし簡便かつ安全にレンズ交換したい。

で、以前から気になっているのがこれとかこれのような「レンズホルダー」という製品。これらはホルダーをストラップで袈裟懸けして使用するのだが、カメラストラップを袈裟懸しているとダブル袈裟懸け状態になってしまう。いやワシはべつにかまへんでという方もおられると思うが、もうちょっとなんとか、と思う方にはPeak Designからこのような製品が発売されている。



ピークデザイン キャプチャーレンズ




キャプチャーはバックパックのストラップや腰のベルトにカメラを装着することのできるアイテムだが、このキャプチャーレンズという商品はレンズホルダーをキャプチャーに装着することができる。これならダブル袈裟懸けにならずスマートだ。CANON EFマウント用、ソニーE/FEマウント用、ニコンFマウント用がそれぞれ25,000円台から28,000円台(キャプチャーなしの単品は7,000円前後)で発売されているが残念なことにGFXのGマウント用は存在しない。市場が小さいのでおそらく今後も発売されないだろう。


でも手持ちのチーズプレートとリアレンズキャップを見ているうちに同じようなものが作れそうな気がしてきた。


使用するのはGマウントのリアレンズキャップ(583円)×2、SmallRigのチーズプレート(1,299円)、ホームセンターで買ったw3/8インチネジ(25mm長)とボルトとワッシャー2枚(計197円)。


10mm径のホールソーでリアレンズキャップに穴あけ



以前三脚座にw1/4インチネジ穴を開けたときと同じ要領でチーズプレートに穴あけとタップ切り



2つのレンズキャップを背中合わせにして、あいだにチーズプレートをサンドイッチしてボルトで締めて、チーズプレートのネジ穴にアルカスイスプレートをねじ込んで完成。


こんな感じ


でも大きな問題が2つある。まずPeak Designの商品はレンズをホルダーに装着するとロックがかかり、赤いボタンを押すとロックが解除される仕組みだ。しかし私のホルダーはリアレンズキャップにレンズをはめているだけでロック機構がない。これは大変危険だ。

なにかいい方法はないかと考えつつFotodioxのNikon F→GFXマウントアダプター(リンク)のリアレンズキャップをいじっていたら、このキャップはフジ純正のリアキャップよりもレンズの締め付けトルクが強いことに気がついた。

ん?どういうことだ?と2つのリアキャップを見比べていたら気がついた。キャップの爪の部分をよく見るとフジの爪よりFotodioxの爪のほうがわずかに太いのだ。


これはフジのリアレンズキャップ。矢印がその爪



ノギスで測ってみると
Fotodioxは爪の左端が2.75mmで右端が3mm
Fujifilmは爪の左端が2.45mmで右端が2.8mm

なるほど。この爪の幅でレンズの締め付けのトルクが決まっているのか。そしてリアキャップをレンズに装着するときにリアキャップを回すにつれてトルクが大きくなっていくのは爪の幅が徐々に太くなっていくからなのだ。

ならば!爪の下面に薄い板状のものを貼り付ければ、その板の厚みによってトルクを大きくできるではないか。上図の下に0.3~0.5mmとあるのはそういう厚みの板が必要という意味。




それで机の上の物品で候補になるものを探すと単語カードの文字を隠す緑シートが目についた。ノギスで厚みを測ってみるとジャスト0.5mm。これをカットして爪の下面に貼り付けることにした。
リアレンズキャップの爪の部分の円周をコンパスで描いて



カッターで切り抜く



レンズの誘導部分が引っかからないように(この写真では右端を)カッターで削って薄くする



アロンアルファ(ゼリー状)を塗って



爪の下面に貼り付け
リアキャップ1つに爪は3つなので合計6つの爪にそれぞれ薄板を貼り付けた。アロンアルファが固まった頃にレンズを装着してみたら硬すぎず緩すぎず、まぁこれなら簡単にレンズは脱落しないだろうといういい感じのトルクが得られた。



さてもう一つ大きな問題を片付けなければならない。
その問題とは、Peak Designではレンズ交換が終わったらホルダーを一回転させて、あとから装着したレンズを下にすることができた。しかし私のホルダーは回転しないので付け替えたレンズを下にするにはプレートをキャプチャーからはずして上下逆に装着し直さなければならない。
いやワシはべつにかまへんでと思う方、ありがとうございます。でもこのおっさんはまだなんか工夫するんちゃうかと思う方は続きをお読みください。



この右下の円盤のようなものはINPONというメーカーのクイックシューパノラマ雲台(リンク)。



これをレンズホルダーとアルカスイスプレートの間に噛ませる。Aのノブを緩めるとホルダーが自由回転する。そして


Bのノブを引き上げることで水平回転する雲台と基部を脱着することもできる。



GFX用の疑似キャプチャーレンズが完成。

INPONの回転雲台は1,489円なのでかかった費用は総額4,151円(アルカスイスプレートは含まず)。まぁこのほかにも単語カードやリアレンズキャップに穴をあけるホールソー(リンク)やこちらで紹介したw1/4インチ穴あけ道具や電動ドリルも必要だが、GFXのGマウントレンズ用のキャプチャーレンズホルダーが欲しい!どうしても欲しいのだ!というひとや、リアレンズキャップを締めていくとなぜトルクが大きくなっていくのかわからなくて夜も眠れない、あるいはサードパーティのリアレンズキャップはなぜユルユルなのだ!けしからん。なんとかしたいがどうすればいいのかわからないという、いずれも世界人口76億人のなかのほんの数人にしか需要はなさそうだが、ま、作るのが楽しかったからいいか。しかしはたしてこれでレンズ交換トラブルが解消されるのだろうか。

後日談:
実地で使用したが帰宅後ホルダーを見たらBのネジが飛んでどこかへ行ってしまっていた。幸いホルダーにレンズを装着していなかったので大事には至らなかったが、もしレンズを装着したまま外れていたらと思うとゾッとする。はずれない仕様のパノラマ雲台を新しく買うか悩んだが、せっかくなのでこのパノラマ雲台を修理することにした。
Bのネジ穴はW1/4インチのネジの規格ではなかったのでタップ切りして手持ちのW1/4インチネジをはめ込んだ。その際ネジの先端を受けの細い溝にハマるようにヤスリで削った。それからこのネジが抜けないようにゼリー状アロンアルファで固定。


ネジ装着後


それからやっぱりというか、リアレンズキャップに重いレンズをはめ込んで歩きまわるとレンズが外れて落としてしまうんじゃないかという不安は半端じゃない。しょっちゅう緩んでいないか確かめるのだが精神衛生上よろしくないこと甚だしい。
この記事を読んで自分もやってみようというひとはおそらくいないと思うが、出費をいとわずGFXシリーズを購入するような購買層の方ならVILTROXの接写リングを2個買ってリアレンズキャップのかわりに使うという手もある(その場合接写リングに付属のリアレンズキャップと接写リングがはずれないように接着剤で完全に固定する必要があって、こうすると接写リングはもはや接写リングとして使用することは不可能となる)。まぁ、そんな事を考えるひとはいよいよ存在しないと思うが書くだけ書いておく。











0 件のコメント:

コメントを投稿

twitter