2022/12/16

レンズの結露について

 マクロやポートレートはD850に任せて風景はGFX50Sで撮ろうと考えた。
それでGF120mmマクロを下取りに出してGF100-200mmを購入。

宅配便で届いたGF100-200mmは冷え冷えだったがさっそくGFXに装着してファインダーを覗いたら前玉が曇ってなにも見えない。ガスストーブの温風に当てて曇りが消えてからファインダーを覗きズームリングをグニグニ回していたらまた曇りだした。前玉から覗き込んだら中玉が曇っている!
あちゃ~。やっちまった。こりゃ大変!と前後のキャップを外して防湿庫に入れて1時間ほどして確認したら曇りが消えていたのでホッと胸をなでおろした。念のため明日まで防湿庫に置いておくことにしよう。しかしこのレンズは防塵防滴仕様なのになぜ中玉が曇ったのだろう。ひょっとするとズームレンズはズームを動かすたびにまるで呼吸するように外気が出入りしているのかもしれない。
そもそも結露という現象について自分はあまりに無頓着だった。
そこでこの際だからと考察してみた。





ご存知のように水には固体(氷)・液体(水)・気体(水蒸気)の三態がある。空気中の水は目に見えるものとして霧や雲や湯気があるがこれらは細かな液体だ。それに対して水蒸気は見ることはできない。それは気体として空気に溶け込んでいる。

さて、空気がどれだけの量の「気体としての水」を保持できるかを飽和水蒸気量と言うのだがそれは温度と関係がある。
温度が高いほど空気はたくさんの水を気体として抱え込むことができる(すなわち飽和水蒸気量が増える)。逆に、冷たい空気が「気体としての水」を保持できる量はわずかであり、その量を超えると水は液体になって霧や雲や湯気や結露としてあらわれる。

外気で冷えたレンズを湿度のある暖かい部屋に持っていくとどうなるだろう。暖房の効いた室内は暖かいのでたくさんの気体の水を保持している。この、たくさんの気体の水を保持した暖かい空気が冷たいレンズに触れると急激に温度が下がって気体の水を保持できなくなり、あふれ出した液体の水がレンズに付着する。これが結露だ。

観葉植物の写真を撮ろうと思って温室に入ったときにレンズが結露するのはなぜだろう。高温多湿の温室の空気は保持できるギリギリまで水分を保持している。温室に入ったばかりのレンズの温度は当然温室の気温より低いのでレンズ前の空気が保持できる気体の水分量が飽和水蒸気量を超えて結露する。


外で冷えたレンズを室内に持って入るときにゆっくりと室温に戻したほうがいいという説がある。ゆっくりだろうが素早くだろうがレンズの温度が部屋の露点温度より低ければ結露は発生する。しかし内外の温度差が大きいほど水滴は速く大きくなるだろう。温度差が少なければ結露の成長速度は遅いだろう。ゆっくり結露が成長して目に見えるほどになる前にレンズの温度が上がってくればまるで結露しなかったようにみえるだろう。

寒冷地で翌朝撮影に行くときにあらかじめレンズを装着したカメラを外に出して冷やしておいたらいいという説がある。寒い朝に霜が降りるようなことがレンズの表面で発生するかもしれない。レンズの温度が外気温と同じであっても、外気の温度がその場の露点温度より低ければ結露するだろう。

要するに湿度が高かろうが低かろうがレンズ表面の空気温度が高いほど飽和水蒸気量は増える。レンズそのものの温度が外気の露点温度より高ければ結露しない。寒冷地に行くときはレンズヒーターを用意しておいたほうがいいかもしれない。

追記:
寒い朝に川の上に湯気が立っているのを見たことがある。川の水が沸騰しているわけでもないのになぜ湯気が立つのだろう。これは川霧といって、気温が0℃前後以下と低く、かつ川の水温が高く、気温と水温との温度差がおよそ8℃以上になるときに発生するらしい。川から蒸発した水蒸気が冷たい空気に触れて結露したものを見ていると言えるかもしれない。



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