2022/12/25

GF20-35mmF4のブリージング


#481
Fuji GFX50S GF20-35mm F4






上の写真では足元の落ち葉から遠くの木の枝まで全部にピントが合っているのがわかると思う。こういったパンフォーカスの写真を撮るのにいちばん簡単な方法は絞りを思い切り絞って撮ることだ(※1)。すると必然的にISOを上げたり露光時間を長くする必要があるが絞りすぎると小絞りボケでシャープさが失われたり高ISOで画像が荒れたり長い露光の間に被写体が風で揺れたりする。Tiltレンズを使えばこれらの問題をかなり回避できるがこの手のレンズは一般的に非常に高価だ。

最近のカメラには深度合成の機能の付いているものが多い。これは近距離から遠距離までカメラが自動で少しずつフォーカスをずらしながら撮影する機能で、それら全てをあとでPhotoshopで合成するか撮れた画像をカメラ内で合成する機能の付いたカメラもある。ただ上の景色のような近距離から遠景までの距離の幅が大きい場合だと数百枚撮影する必要がある。

近くと中間と遠くの3枚を撮って合成する方法もある。上の写真はYouTubeのこちらの動画(リンク)を参考に作成したのだがその時に問題になるのがFocus Breathingだ(フォーカスブリージング、あるいは単にブリージングとも言う)。

ブリージングというのは近くに合焦したときと遠くに合焦したときで画角が変わってしまうという現象で、動画用の高価なレンズや一部の静止画用のレンズを除いて殆どのレンズで多少とも見られる現象だ
(※2)。言葉で説明してもわかりにくいと思うがこちらのサイトのGIFを見ていただければ一目瞭然なので興味のある人はどうぞ(リンク)。Google翻訳したページはこちら(リンク)。フォーカスブリージングという言葉の日本語はまだないのでGoogle翻訳では「集中呼吸」という不思議な語に翻訳されている。

ブリージングは動画ではおかしな印象をあたえるので極力排除するためにブリージングのない高価なレンズで撮影されるが単に静止画を撮っている限り気にする必要はない。しかし静止画でも上記のような深度合成をするひとにとっては無視できない問題だ。例えば近距離と遠距離の2枚の画像を合成しようとしたときに画角が変わると接合部でズレが生じるのだ。そのズレを修正するために画像にかなり手を加えなくてはならずそれがとても面倒。

さてこのブリージングという現象がまだ適切な日本語に置き換えられていないことからもわかるようにこの現象は日本ではあまり取り沙汰されていない。翻って海外でこれがしばしば問題になるのは海外の写真家は深度合成するひとが多いからだろう。

上の写真を撮ったGF20-35mmF4を紹介している富士フイルムの公式サイト(英語版)(リンク)では赤く長いスカートを翻しながら踊る女性の写真の上に以下のような説明文がある。

"Breathing has also been minimized, allowing multiple frames of the same scene to be taken at different focusing points, then seamlessly combined in post-production for ultimate sharpness."
拙訳:このレンズはまたブリージングはごくわずかであり異なるフォーカスで撮影された複数のショットをシームレスに合成することができるので究極のシャープネスを得ることができる。

ところが同公式サイトの日本語版(リンク)では女性の写真の上の説明はこのようになっている。
「ピント位置を変えた多数のショット、三脚に固定したままのピント移動など、広角レンズに求められるAF性能を極めた」
これはこのレンズがブリージングがわずかで深度合成に有利ですよという海外版での説明をはぶいているわけだが、まぁ日本の購買層はレタッチという行為に対し拒否反応を示すひとが多いし、さらに手作業で深度合成するようなひとは更に少数だからこの説明でよいのかもしれない。

さてではGF20-35mmF4のブリージングは本当に過小なのか。
上の写真を作成するにあたり短距離と中距離のあいだでブリージングはほとんど確認できなかったが中距離と遠距離のショットを合成するときに数ピクセルのズレを認めた(写真では修正済)。逆に言えばそれだけブリージングはわずかということだ。
ちなみに先程ご紹介したPetaPixelの記事にはブリージングの影響を小さくする方法が記載されていたので合わせて記載しておくと
  • ブリージングの小さな高額レンズを買うこと(まぁね)
  • 近距離から遠距離まで合焦幅の大きい撮影は避けること(確かに)
  • 最大倍率の小さなレンズより大きなレンズのほうがブリージングは少ない(ほぅ!)
  • 持っているレンズを同条件で撮影しブリージングの少ない方を使う(それはない)
ということです。


(※1)厳密にはパンフォーカスではなく被写界深度が非常に深い写真
(※2)ソニーはα7Ⅳとα7Vで動画時のカメラ内ブリージング抑制機能を搭載しているそうです(対応レンズのみ)







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