2019/12/08

反映

https://www.flickr.com/photos/slowhand7530/49184650003/in/dateposted/
Leica M10-P Summaron 28mm F5.6



うーん、これはね、典型的な一般受けしない写真ですね。
中心となる物的人的テーマがなく心躍る色彩もない。
いやむしろここにはこころをcalm downさせる要素しかない。

撮影者(はい私です)はなぜこの写真を撮ったのか。
そしてなぜ彼は撮れた写真をボツにせずみなさんのお目にかけようというのか。

愚を知った上であえて写真に説明を付与するのは
写真を材料にしてともにこの写真の面白さを共有したいと思ったからです。

まずこの写真は水の反射を撮っています。
景色が反転していることによって被写体の具象性は弱まります。
写真が抽象的すぎると取り付くシマがなくなりますが、ここでは山端の樹々と、水面に僅かに顔を出した水草と、鱗のように敷き詰められた雲が具象性を担保しています。

抽象性によって表現されているのはここではトーンです。
写真をクリックして、さらにFlickrの画面をクリックして拡大表示するとわかりますが下三分の一のアンバーと中央のブルーの移行部で池が深くなっています。
そのおかげでここでトーンが変化しているのですね。

そのトーンの変化を鱗のように敷き詰められた雲の上に観た撮影者は、それを画像にとどめたいと思ったのでしょう。

そのトーンはしずんだトーンです。
去りゆく秋への愛惜はありつつ、しかし山端から覗く太陽が空全体を明るく照らし、それはまるで無情ともいえる時間の推移を光が静かに祝福しているかのようです。

この写真は秋から冬へ、アンバーからブルーへ、池の浅みから深みへ、そして具象から抽象への移行部分をキャッチしています。そしてそれらすべてを、広がりのある景色の中の、しずんだトーンの変化として表現できたらいいなと、作者の中の作者が弁明しています。






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