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2022/09/24

三菱ピュアモルトシャープペンシルを改造

 

三菱鉛筆 シャープペン ピュアモルト 0.5 ダークブラウン M51015.22(リンク)を購入。価格のわりによいペンだと思ったが不満点は3つ。

  1. 思ったより細い
  2. 思ったより軽い
  3. 振っただけでカチャカチャ音がする

1についてはこのペンは同じピュアモルトシリーズでも太い方なのだがそれでも自分には細く感じた。2についてはこれも28.5gで決して軽い方ではないのだが自分はもっと重いペンが好み。3についてはネットでしばしば取り上げられているがだれも解決方法を書いていないようなので後ほど。

まず1と2について。以前ステッドラー771を改造したときに書いた方法(リンク)、つまり鉛テープをペンの前半部分にグルグル巻いて、その上から適当な幅に切った日本エラスター極薄滑り止めテープ(リンク)をグイグイ引っ張りながら巻いて完成。これで幅は一番太いところで15mmで重さは35gになった。せっかくのピュアモルトの木肌が半分見えなくなってしまうが実用重視。

3については本体軸と中芯パイプのあいだに隙間があって、ノックキャップを差し込んでもその隙間が埋まらないせいだと判明(各部名称についてはこちらを参照)。

そこでスコッチメンディングテープ(18mm幅)を上図のように3mm幅でカットし

ノックキャップの下端にくるりと貼って完成。
ポイントは3つ。テープはスコッチメンディングテープのような薄いテープを使うこと。厚みのあるテープでは本体軸と干渉する(普通のセキスイのテープでも大丈夫かどうかは不明)。そしてテープ幅はきっちり3mmにすること。これより幅があると本体軸と干渉してノックが硬くなる。さらにスコッチテープを上図のように横断するようにカットするとカットされたテープの長さは18mmで、これがノックキャップをちょうど一周する。




本を読んでいて気になる箇所に傍線を引くのだが0.7mmではちょっと太いと感じるときに0.5mm芯のシャープペンシルを使う。ただ0.5mmはちょっとカリカリするのでもっと柔らかい芯はないかと探して見つけたのがパイロットのネオックスグラファイト0.5mm4B。これは本当に柔らかくてぬりぬり書ける。







2022/08/26

実寸印刷してみないとわからない

 
昨日の記事でも少し書いたが今僕は太芯シャープペンシル大好き状態。
もともとファーバーカステルの0.7mm(リンク)を愛用していたが、そもそも僕のシャープペンシル熱は伊丹十三氏が愛用していたMontBlancのPIX #75が発端だ。ここは一つ奮発して、と思ったが#75は人気が高くてネットではほとんど出物がなく、あっても非常に高価だ。それで#75と似ているが安くて手に入りやすい#35を入手してみたが思った以上に細くて軽い。

じゃあ1.18mmのシャープペンシルで太いのはないかと探したら唯一Kaweco-Sport Luxe pencilというのが見つかったがこれも廃番で出物は皆無。そんなある日eBayを見ていたらアルパカというヴィンテージもののモンブランのPIX #720が販売されているのを見つけた(リンク)。$378もするが以前楽天で販売されていたものよりだいぶ安い。頑張って買うか?と数日考えていたがフトこの製品の重量を見たら(リンク)20gとある。

ん???見た目は真鍮のKawecoのスケッチアップペンシル風だしこの製品はニッケルシルバー製の金属本体なのにKawecoの半分の重さってどういうこと?
ひょっとしてこのシャープペンシルは想像よりずっと小さいのかも?
それでこのサイト(リンク)を参考に製品を実寸印刷してみた。


印刷してみて驚いた。いやこの小ささがいいというひともいるかもしれないが。


全長:約94mm (収納時)、全長:約96mm (筆記時)、胴軸径:約9mm
ちなみに上から二つ目はKaweco SketchUp 2mm芯で三つ目は昨日記事に書いた改造型ステッドラー1.3mm。

ここで一句
ちょっと待て その妄想が 命取り
転ばぬ先の 実寸印刷

もう一句
のぼせたら
実寸印刷してみよう
フト見渡せば
秋の夕暮れ

無理矢理秋という季語を入れてみたけど俳句と違って短歌は季語がいらないようだ。






2022/08/25

ステッドラー771を改造

 


僕は読書しながら傍線を引くのにクラッチペンシルやシャープペンシルをよく使う。
これは最近見つけた1.3mm芯のステッドラー771(アマゾンへのリンク)。
三角軸×滑り止め加工付きのグリップで筆圧の弱い方でも書きやすいというのが売り文句で、外観のかっこよさと僕の好きな太軸に惹かれて購入したのだが使ってみたら僕には合わないということがわかった。

僕は本を読みながら筆記具を手の中で転がしたりクルクル回したりするのだが三角軸では手の中で転がらない。
それから僕は太くて重たい筆記具が好きでKawecoのSketchUpの5.6mm芯のクラッチペンシルや同じくSketchUpの2mm芯のシャープペンシルを愛用している。これらは真鍮製だけあって重さが40gもあるのだがこのステッドラーは18.5gしかない。

そんなこと、買う前に調べてみればわかることじゃないかと言われてみればそれまでだが手の収まりや使い勝手は実際に使ってみなければわからない。文具好きならわかってもらえると思うけど。

で、どうしたもんか。転がらないペンを手の中で無理矢理転がしたり我慢してシコシコ使ってみたが、やっぱりダメだ。
軽い!軽すぎるぞキミは!と叫んだあげく、ふとひらめいた。
重くすればいいのだ。




滑り止めグリップを外して粘着性鉛テープ(リンク)をグルグル巻き付ける。
これで重くはなったがフロントヘビーだ。ちなみにこの時点で30g。


三角軸の稜線をヤスリで削って無理矢理六角にする。クリップも鋸で切ってしまう。


そして鉛テープをそのままお尻まで巻いてしまう。これで42g。Kawecoに匹敵する重さになった。
もう洗練されたステッドラーの面影は微塵もない。
哀れだ。しかしこれはある意味ヘヴィーデューティーだ。ヘヴィーメタルだし。

重い!重いぞキミは!そして転がるぞ、キミは!
ギョッとする見た目にすこぶる満足。
鉛中毒を危惧される方はこちら(リンク)を。
筆記具を舐めないこと。使ったあとは手洗いを。



追記:念のため鉛テープの上からブチルゴムテープを巻いた。梱包芸術のようになってしまったがこれで万全。

後日追記:
と思ったがブチルゴムテープはいつまでたってもベタベタするので前半分に適当な幅に切った日本エラスター極薄滑り止めテープ(リンク)をグイグイ引っ張りながら巻いた完成図がこちら↓


2025/7/2の状態 今も愛用しています。





2021/12/28

Lamy Dialog3の洗浄法

 


あらかじめことわっておきますがこれは簡易的な洗浄法です。僕のようにしょっちゅうインクをとっかえひっかえ万年筆ライフを楽しんでいるひとにとっては短時間で洗浄が終わるというメリットがあります。

ペン本体からペン芯を抜き出してコンバーターを外します


ニブの先端を親指と人差指でつまんで
引っ張りながら慎重に左右にスイングします


初めてのときはなかなか外れません
ニブを傷めないように焦らずゆっくり慎重に


外れました


洗面台へ持っていってニブを水洗い
落ちにくいインクカスは歯ブラシで


万年筆の洗浄で愛用しているブロワーです。プラチナの万年筆インククリーナーキットに付属しているスポイトでもいいですが、強くジェット噴射すると洗浄が短時間で終わるのでカメラ用のブロワーを使っています。アマゾンで「カメラ ブロワー」で検索するといろいろみつかるでしょう。これ(リンク)なんかが使いやすいかもしれません。

このブロワーを洗面台に張った水に沈め、中の空気を押し出して水で満たします。それから中軸のお尻からコンバーターの差込み口方向にブロワーの先端をあてがって、水中でブロワーを握りしめて中軸内のインクを力いっぱい吐出させます。一般的な万年筆はこれでよいのですがDialog3は中軸の側面にスリットが開いているので、上の写真のように親指と人差指でスリットを塞ぎながら吐出させなければなりません。ブロワーのジェットが強ければ中軸内のインクを勢いよく吐出させることができます。手が小さく力が弱い女性ではちょっと難しいかもしれません。予備のコンバーターがあればそのお尻をはずすか切るかして中軸に装填し、そこにブロワーの先を差し込んで噴射すればよいでしょう。何度もブロワーでジェット噴射してインクの残りを出し切ったらティッシュで拭って組み立てなおして終了です。Dialog3に限らずほかの万年筆も僕はだいたいこの方法で洗浄しており、顔料インクを使ったあとやドライアウトした場合はプラチナの万年筆インククリーナーキットを使います。

繰り返しますがこれはあくまで簡易的な洗浄法です。しっかり洗いたければ一晩以上水に浸けておくなどの方法をお勧めします。また今回Dialog3のニブを外して洗浄しましたが一般的な染料インクではニブを外す必要はないかもしれません。

あー、なんだか気を使うなぁ。そう。万年筆愛好家はみな一家言あるひとが多いので記載にはとても気を使うのです。ええかげんなことを書くな!というお叱りの声も聞こえてくるので今日はこのへんで。








2021/12/23

Lamy Dialog3のペン先乾燥問題


 僕はLamy Dialog3を2本持っている。1本目は7年前に買ったパラジウムでもう1本は2年前に買ったピアノホワイトだ。ニブの太さはどちらもB。それぞれに違う色のインクを入れて、パラジウムでしばらく書き込んだら休憩して今度はピアノホワイト再び書き始めるという使い方。

Lamy Dialog3の魅力はなんと言ってもその書き味のよさだ。腰があるのに柔らかい。タッチが絶妙なのだ。ほかのペンに浮気しても結局このペンに戻ってくるのはニブに秘密があるのだろう。そういえばほかのペンは使い始めに書き味のタッチがシックリしなくて調整に出したり自分でニブを研磨したりするのにDialog3に関しては買ってすぐにスラスラ使えてなんの問題も無い。おそらくニブの品質が高いレベルで維持されているのだろう。

さてそんなDialog3で唯一悩まされているのがペン先の乾燥問題だ。たまたまかもしれないがいずれのDialog3もペン先の乾燥問題に悩まされた。具体的にいうと書いたあとシャッターを閉じてペン先を格納し数分後に書こうとするともうインクが濃くなっている。数日置くと乾燥してまったく書けなくなるので洗浄という流れ。だからコンバーターにインクを満タンにしているとインクが丸々無駄になってしまうのでコンバーターにはいつもインクを少しだけ入れて適宜つぎ足すようにしている。パラジウムのほうはなぜかあるとき自然治癒したがピアノホワイトのほうは全く改善の兆しがないので保証期間内にメーカーにみてもらったら「異常ありません」と。うーん、困ったな。ほかの点では問題なくて気に入っているから、なんとかして自分で解決の糸口を見つけたいと思った。

僕は最初先端のシャッター機構に問題があるんじゃないかと思った。それで使ったあと先端の開口部にテープを貼ったり練り消しゴムで蓋をしたりしたがそれも面倒でやめてしまった。あるときふとピアノホワイトのシャッター部分を指で抑えて首軸のお尻から息を吹き込んでみたら空気が漏れるではないか。乾燥問題の無いパラジウムで同じ事をしてみたらこちらは全く空気が漏れない。
それでピアノホワイトの首軸の先を水に沈めてお尻から息を吹き込んでみたら
シャッター部分からのエアー漏れはないがクリップの付け根から泡が出てきた。


このDialog3というペンは軸を捻るとシャッターが開いてペン先が繰り出されるのだが、この操作に連動してクリップが浮き沈みする。ペン先を格納するためにシャッターを閉じるとクリップが浮いて胸ポケットにさしやすくなり、書き始めるためにシャッターをあけるとクリップが沈み込むという仕組みだ。よく考えついたものだ。ネットで検索しても内部構造の見取り図が見当たらないのでどういうカラクリかわからないがうまく作り込んだものだと感心する。しかしこのギミックがDialog3のアキレス腱かもしれない。クリップを浮き沈みさせるためにわずかとはいえクリップの付け根に隙間ができるからだ。Lamyよ技に溺れたか!?

クリップ部分の拡大写真。Aの左とBの左にクリップを支える柱状のものがある。この柱状のものが軸をひねるたびに上下する。だから上図の矢印のあたりに空気の漏れる隙間があるに違いない。

そこでAの右とBの右の隙間に細く切ったセロテープを挿し込んで貼ってみたり、隙間にオイルを塗ってみたりしたが空気の漏れは止まらなかった。
じゃあこの隙間そのものを埋めてしまおうとゼリー状アロンアルファを塗ってみたがダメだった。それで一旦あきらめて半年ほど経ったが、気を取り直して固まったアロンアルファをきれいに除去してから、そうか、ゼリー状ではわずかな隙間に入っていかないから普通の液状のアロンアルファならうまくいくかもしれないと考えてAの右とBの右の隙間に液状のアロンアルファをそれぞれ1滴ずつ染み込ませたら、なんと直後からエアー漏れがなくなり、そして以後僕はペン先乾燥問題から開放されて現在に至る。

じゃあこの方法を他のひとに勧めるかといえば微妙だ。クリップがペン軸本体に固着して可動性が失われクリップとして使えなくなるし、(これはちょっと考えにくいことだが)もしアロンアルファが軸の内部の歯車に染み込んでしまったら軸の回転機構がダメになってしまうだろう。だから、いやもう、ええねん!どないなってもええから問題を解決したい!メルカリで売れんでもかまへん!というひとは(僕は責任をもたないけど)トライしてみてください。健闘を祈ります。

さて、おそらくLamyとしてはこのペンの複雑な機構に伴う根本的な問題をきっと把握していると思う。世界中である一定数のペン先乾燥にまつわるクレームが、Lamyのもとに届いていると思う。シャッター機構だけで充分優れているんだから、クリップを連動させようなどと考えなければよかったのだ。おそらくLamy内部でもこの問題は何度も話し合われて、クリップ基部の隙間を別のパッキンに変更しようとか、いやもうクリップ機構はやめて改良版を出そうという意見も出ていただろう。しかしおそらくこのペンを開発したフランコ・クリヴィオ氏が首を縦に振らなかったのだ。「あのクリップの浮き沈みをシャッターの開閉に連動させるのにワシがどれほど苦労したと思ってるんだ!ああ、今でも思い出す。夜更けのお風呂でワシはまどろみながらあの機構を思いついたのだ。あれこそまさに悪魔のひらめきだ。いやーイカン!イカンイカンイカーン!クリップをやめるなど、ワシは断固反対だ!(あくまで想像です)」。

しかしクリヴィオ氏も寄る年波には勝てなかったのか、コロナ騒ぎのどさくさでスタッフが押し切ったのか、クリップのないLamy Dialog CCがもうすぐ発売になります。



かつてクリップのあった場所には小ぶりの出っ張りがあるがおそらくこれは転がり防止を兼ねたエンブレム。もう軸をひねっても浮き沈みしないだろう。ニブに変更がなければあの絶妙な書き味はそのままだろうし、なおかつ本体は軽くなってLamy Dialogシリーズとしてはほぼ完成の域に達したのではないだろうか。いやそれにしても美しい。

延期が続いている本品の発売はいつになるかわからないし(※)旧Dialog3の値崩れに誘惑されるひとも多いと思うが、乾燥問題のリスクを避けたいなら今しばらく辛抱してCC発売後の評価を待ったほうがいいかもしれない。


※→2021年7月の段階では海外ですでにプレオーダー受付が開始されているようです。




2020/04/11

Lamyのアマゾナイトと2020年限定色トルマリン


Lamy Amazonite & Tourmaline


 Lamyは毎年筆記具の限定色を出しています。
今年は万年筆のアルスターと一緒に限定色のインク「トルマリン」が発売されました。
このトルマリンと同社のアマゾナイトはちょっと色が似ていて、でもネットでは両者を比較した記事が見当たりません。

どちらを買うか悩んで結局両方を買ってしまった僕のようなひとのためにポル語練習ノートをカメラで撮ってアップしようとしたのですが、普通に撮ってアップしただけでは色の違いがほとんど見分けが付きません。実物では色の違いが明らかなのに。

それでノートをスキャナーでjpeg取り込みしたあと時間をかけてSilkyPixとPhotoshopで色を調整し、その結果ようやく肉眼で見た色の感じを再現することが出来ました。上がアマゾナイト。下がトルマリンです。

アマゾナイトはブルーっぽいターコイズ。
トルマリンはグリーンっぽいターコイズ。
アマゾナイトは滲みが少ないがトルマリンはやや滲む傾向。
アマゾナイトは濃淡が出やすいがトルマリンはやや濃淡が出にくい傾向です。

ちなみに僕はパイロットの色彩雫「紺碧」と「朝顔」を持っているのですがいずれも濃淡がほとんど出ません。
どちらもきれいな色ですが濃淡フェチの僕としては・・・。

以上インク沼の住人以外にはなんのこっちゃな限定情報でした。












2019/04/08

King Profitの復活

買ってはみたもののどうにも使いあぐねている万年筆の最右翼は僕の場合はセーラーのキングプロフィットだ。
このペンをいつ買ったか、ずいぶん前だったはずだけど自分のブログを検索してみたら2009年の7月だった(こんなときブログって便利だ)。
10年も保有しているのにそのあいだほとんど使わなかったのは筆致が細かったから。そんなこともわからずに買ったのかといわれそうだけど、まだ当時は万年筆初心者で自分のニブの好みも知らなかったのだ。それで仕方がないから買ったときと、それから半年ほどしてからもう一度ペン先を某所でスタブっぽく研磨してもらったけどやっぱりダメで結局お蔵入りとなった。

今回ふと思い立ってペン先をミュージックニブに変えられないかメールでセーラーに相談してみたら以下のような返事が来た。
「ペン先をミュージックに変える事は規格にない為できません。一時海外仕様でミュージック仕様ではないですが長刀研ぎ等特殊ペン先を装着したものを販売した経緯はございます。但し今では全く生産はしておりません。お役に立てず誠に申し訳ございません」

そうか、ミュージックニブは無理か。じゃあせめて太字ニブに変更できないか再度メールしてみたら以下の返事が。
「太字への交換は可能です。ちなみに費用は24,624円(税込)になります。しかし最初に品番11-7001-620?であると伺っております。もしそうならばこの品番は字幅が太字になります。またキングプロフィットエボナイトですが、ナショナルブランドとしましては中字及び太字のみの規格になります。ペン先下部の左側に刻印があると思います。刻印がMであれば中字、Bであれば太字になります。ご確認を頂ければ幸いです」

それで僕のキングプロフィットのペン先を調べてみたらなんとBの刻印が!細字だとばかり思っていたニブが太字だったのだ。
うーん、それなら交換する意味がない。折角相談に乗っていただきましたが当方のニブもBでしたと担当の方に返事してから考えた。
このままずっと使わないよりは一か八か自分でペン先を研いでみよう!


IMG_8524


拡大鏡で見るとペン先の先端部が左右からの研磨で細字になっていた。それでペンを垂直に立てて400番の耐水ペーパーで先端のイリジウム部がなくならないギリギリまで削って先端を平らにし、そのあと書き味を確認しながら1000番、2000番で丁寧に研磨していった。上の写真は研磨終了後。


MontBlanc Permanent Blue


その結果どうなったかというと、素人の研磨にしては上出来でペン鳴りはするが意外なことにとてもスムーズに書ける。そして一番驚いたのはペン先の見た目の細さに反して筆圧をかけると縦の線がかなり太く書けるしっかりとしたスタブになったことだ。21金という柔らかいペン先がしなることの効果だろう。それからザラザラの胴軸をピカールで磨いたらスベスベになって光沢も出てきた。
そうまでしてキングプロフィットを自分好みに仕立て上げる意味はあるのかと問われれば力強く「ある!」と答えたい。その後しばらく使ってみてつくづく感じたことだけど、しっかりした太い軸は僕のような筆圧の強い書き手には理想的だし、それからこれはペンを持ったときに毎回感じることだけど体温との温度差をほとんど感じさせないエボナイトのきめ細かいサラサラした感触はとても好もしい。
インクはモンブランのPermanent Blue。


Montblanc permanent blue


10年間も冬眠していたこのペンが現役第一線に参列することになったのは感慨深い。
このペンを買ったときナガサワの店内で万年筆使いの練達が「これは磨けば化ける」と言って磨き布をくれたことを思い出す。




追記:僕のようにどうしてもキングプロフィットをスタブやミュージックで使いたい方は日本のサイトでBニブを購入してプロの研磨師に研いでもらうか、あるいは海外の例えばこのサイトなどでBニブ(21K Rhodium Broad)、オプションでStubを選ぶという手もあります。
プロギアスリム、プロギアレギュラー、キングプロフィットのサイズ比較はこちら


2018/08/27

LAMY DIALOG 3 再び

P8260006A

万年筆好きの人なら経験していると思うけど、買ってはみたものの何となく使いあぐねている万年筆が何本かあるものだ。僕にとってその1本がLamy Dialog3だ。

もとはといえば仕事用としていちいちキャップを付け外ししなくていい手軽さでパイロットキャップレスを購入したものの、数日使わないでいるとペン先が乾燥してしまうことのもどかしさに耐えきれず購入したのがこのペンだった。
洗練されたデザインとメカニカルなシャッター機構が魅力だけど何となく自分の手になじまず、しかもこのペンさえもペン先乾燥問題と無縁ではなかった。そうこうしているうちにパイロットキャップレスの乾燥問題が解決してしまい、さらにはDialog3をうっかり落として首軸先端の開口部が少し歪んでしまったこともあってこのペンは長らくお蔵入り状態だった。

最近またよく万年筆を使うようになったこともあって、なんとか復活させたいという思いで首軸交換の修理に出したこのペンが4ヶ月ぶりに僕の元に帰ってきた。修理の際に乾燥問題を伝えてあったので大いに期待しているところだがまだ使い始めなのでわからない。
さて、ではなぜ僕がこのペンを使いあぐねていたかだが、再び使い始めてようやくわかった気がする。

まずこのペンは重い。精緻なメカニカルシャッター機構を内蔵しているせいか、モンブランの149より13gも重い。それはいい。いいんだ。だけど重いペンは持ちやすくあるために太くあってほしい。このペンの首軸の把持部は149よりもやや太めだが、重量比を考えるともっと太いほうが安定すると思う。
それから人差し指のMP関節部にペンの胴軸が乗るんだけど、胴軸の素材がサラサラの金属なのと本体が重いので、ここで滑っちゃうんだな。パラジウムじゃなくてピアノブラックやピアノホワイトならましかもしれないけど。

ま、そういうわけで、使いあぐねていた原因の一端が見えたところでどうするかだけどDialog3を部分的に太巻き寿司にすることにした。使いさしの粘着力のなくなったベルクロテープをモビロンバンドで写真のようにぐるぐる巻きにした。
このペンをデザインしたフランコ・クリヴィオ氏が見たら憮然とするだろうけど、そして見た目は本当に不格好だけど明らかに持ちでが改善し愛着まで湧いてしまった。許せフランコ。


P8260003B
インクはYARD・O・LEDのブルーブラック。



追記:Lamy Dialog3の乾燥問題については日本では取り上げられているサイトを見かけませんが海外ではNib Dry Out Issueとしてあがっています。「数時間で乾燥して書けなくなってしまう」という人もいれば何の問題もないという人、インクを変えたら治ったという人や、Lamyに新品に交換してもらったという人まで様々です。シャッター機構についてはパイロットキャップレスのほうが評価が高いようですね。確かにキャップレスのほうが機構が簡単な分だけトラブルが少ないのかもしれません。

更に追記:上記の僕の改造についてはモビロンバンドでぐるぐる巻きにしたせいでクリップが常に押し下げられた状態になっており、これが乾燥問題に悪影響を及ぼす可能性があります。今のところ毎日使って何の問題もないのですが、一週間程度放置してどうかなどについては機会があれば報告したいと思います。

更に更に追記:5日ぶり(中4日)の登板で書き出し問題なしでした。

更に更に更に半年後の追記:うーん、やっぱり乾燥します。翌日には書き出しがかすれてしまう。要するに開口部を塞いでおけばいいのだと考えて、使い終わったら練り消しゴムをアズキ大に丸めたもので開口部を塞ぐようにしました┐(´д`)┌。

更に追記(2019/04/02):練り消しゴムは我ながらいい考えだと思ったけどゴムが溶けてきてシャッターの内側にへばりついてきた。それで無水エタノールで湿した綿棒で半閉状態のシャッター周りを丹念に掃除したら5日ほど放置しても書き出しスムーズ。思うにDialog3のペン先乾燥問題はひょっとすると微細なゴミがシャッターの密閉性を邪魔していたのかも。そしてこの微細なゴミを取ることが乾燥問題解決のカギなのかもしれない。まぁこれもしばらくは様子見だけど。

更に追記(2019/10/2)
上記の無水エタノールによる掃除後は極めて好調。一週間以上放置しても書き出しスムーズ。
Lamy Dialog3のピアノホワイトを買ってみた。想像通りピアノホワイトは指が滑らないので上記のような太巻き寿司にしなくてもそのまま普通に使える。皆さんにはパラジウムではなくピアノブラックやピアノホワイトを強くお勧めします。(と書いたものの最近はパラジウムの太巻きをはずしてそのまま使っている。いい加減なブログ。2019/11/4)

さらに追記(2021/12/23)
ペン先乾燥問題の最終稿を書きました(リンク)。



2018/04/24

柿の文鎮

南部鉄 柿

南部鉄で出来た柿の文鎮です。
骨董趣味はありませんが、なんともいい佇まいです。






南部鉄 柿

万年筆を再び使うようになってノートの折り返しの浮きを押さえるために購入したのですが勉強の合間に眺めるのもいいものです。








南部鉄 柿

小さく可愛い文鎮ですが手にするとずっしり重くて525gもあります。
僕は楽天の書道系のお店で購入しましたが万年筆販売で有名な「スミ利」さんでもあつかっておられますね。
追伸:この写真では柿の色はかなり赤っぽく写ってしまいましたが実物はもうちょっと地味な朱色です。念の為。






2018/04/15

YARD・O・LED

YARD・O・LED Blueblack

YARD・O・LEDのBlueblack。
この独特の青緑色が気に入って随分使ったけど万年筆熱が冷めてからほぼ7年間お蔵入り状態だった。
それが最近ポルトガル語を勉強し始めてからふたたび万年筆熱に火がついた。
変色してるかもと思ったが買ったときとあまり色味は変わっていなかった。
青すぎず緑すぎず、明るすぎず暗すぎず、そして若すぎず渋すぎず。
いい塩梅です(Photo Yodobashi ®)。










2018/04/05

久しぶりのペリカン

write and learn


最近はずっと、もう長い間プラチナのピグメントインクブルーを入れたパイロットキャップレス一本槍だったけど、今日ペリカンのM800イタリックライティングにセーラーの海松藍を入れて書いてみた。
そうしたら忘れていたM800を買ったときの感動が甦った。いやもちろんペリカンの素晴らしい書き味のことを忘れていたわけじゃないけど仕事使いにはもったいないというか、レディを現場に連れて行く訳にいかないというか。そんなわけでずっと彼女のことは敬して遠ざけていたのだ。
でも今日久しぶりに嗅ぐインクの匂いとM800の羽根のような書き味にウットリ。あぁ万年筆ってやっぱりいいなぁ。












2017/11/25

Kaweco Clutch Pencil

Untitled

久しぶりの文具ネタです。





Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

ブリキのペンケースの中に入っているのは





Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

KAWECOのスケッチアップペンシルCL5.6BR
以前購入したラミーのスクリブルと同じでいわゆる芯ホルダーというものですが、これはブラス、つまり真鍮でできています。




Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

芯もこんなに太い。





Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

おしりのノック部分をスクリューすると






Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

芯研器になっています。





Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

6Bの芯を使いたくて丸善美術商事のサムホルダー用 黒芯(6B、5本入り) を買ったんですが入らない。
説明書を読むとこのホルダーの適合芯サイズは5.5~5.6mm。丸善美術商事の芯は5.8mmでした。




Untitled

仕方がないのでカッターの刃を立ててコシコシ削ってようやく使えるようになりました。
追記:こんなことをしなくてもコヒノール(コイノア)社で6B 5.6mmが販売されています(Amazon等)




Kaweco Clutch Pencil CL5.6BR

考えながら本を読む。
読みながら思いついたことを書き込む。
またぼんやり考えながら、手慰みに筆記具を手の中で転がす。
そのうちに考えがまとまってきて
またそれを書き込む。

ものを考えるときの相棒として
愛着のわきそうな製品でした。


書き込みの本は最近僕がどっぷりはまっている岸田秀さんが山本七平さんと対談した「日本人と「日本病」について」。
日本人がどんな思考様式で行動しているかが赤裸々に語られていて大変面白い。














2015/01/02

モンブランのパーマネントインク

Montblanc Permanent Blue

モンブランのパーマネントインクブルーが気に入っています。
ペン先の滑りが驚くほどよいのです。それは、








Montblanc Permanent Blue

たぶんペン先と紙の間で顔料粒子がコロのような枠割を果たしているのではないかと。
セーラーの顔料系インクの青墨も好きな色でこのペン(149BB)に入れて長く使っていましたが
このような滑り感はあまり意識しませんでした。








Montblanc Permanent Blue

それから特筆すべきはインク窓のクリアランス。
万年筆のインク窓、特にモンブランのそれはとても小さく見づらいのですが
クリアランスの悪い染料系のインクではいつまでたってもインク窓の中がよく見えないのに対し
パーマネントインクは顔料系のためペンを立てるとすぐに窓の中が見えるのです。

また染料系のインクでしばしば経験することですが
書いてすぐはとても色鮮やかなのにしばらくすると色がくすんでしまう。
パーマネントインクは色の変化が殆ど無くしかも耐水性。

さらに意外にメンテナンスフリー。
いやもちろん顔料系だから使わずにおいておくことは良くないんですが
モンブランの万年筆の気密性が高いせいか、きちんとキャップを閉じておけばしばらくぶりに使っても書き出しはスムーズ。

IMG_3064a

ただし顔料が水より重いせいかペン先を上にして立てたままにしておいて
しばらくぶりに使うと書き出してしばらくは筆跡が水のように薄い。
それならというので最近はペンを逆さまに立てるようにしている。
こうすると書き出しから濃く書けます。
(4年後の追記:立てておかなくても寝かせておけば問題ありません。)

雪のお正月。写真を撮りに行けないので室内文具ネタでもと思って書いてみました。





2014/09/14

パイロットキャップレスの気密性を回復させる。

R0013382

書き味はとてもいいしノック一発で使える便利な万年筆として日々愛用してきたパイロットキャップレス。
しかし僕のキャップレスには致命的な欠陥があって、それはたった中二日の登板でペン先が乾燥して書けなくなってしまうこと。
ずっと辛抱して使ってきたけど、先日衝動的にラミーダイアログ3を購入してから彼の出番はなくなってしまいました。
でもこの傷だらけの戦友をこのまま引退させるのは忍びない。連休で時間もあるし、ちょっといじってみよう。











R0013361

要するに気密性に問題がある訳です、僕のキャップレスは。
ネットで調べてみるとほかの人のキャップレスは1ヶ月置いておいても大丈夫という記載もあるけど
気密性で困っているという記事は見当たらない。うーむ、この件で悩んでいるのは僕だけなのか?

それで試しに首軸のお尻を口に咥えて息を吹き込んでみると先端から空気が漏れるではないか。
おそらく先端のシャッター機構に問題があるのだろう。
上の図にも書いたけど、本来ペン軸を収納しているときにキチンと閉まっているべきシャッターが閉まりきっていないのだろう。
先端の開口部は小さくてよく見えないけど、覗きこむと確かにフラップ状の構造物が見える。

それで精密ドライバーでそのフラップを上に持ち上げてキチンと天井に密着させるようにしてみたらお尻から息を吹き込んでも漏れなくなった。
ああ、なんということだ。こんなあっけない方法で解決するとは。





R0013359

これが問題のフラップ。
ま、もう解決してしまったけど、このフラップを閉じる機構は板バネなのか巻きバネなのか知りたくて覗きこんでみたがよく見えない。













RIMG0012

そうだ、あれを使ってみよう!ということで取り出したのは買ってからほとんど使っていなかったSVP DM540というデジタル顕微鏡
対物レンズの周囲にリング状のLEDライトが付いているので小さなものに接近して超マクロを撮ることができます。
ただしお世辞にも画像は綺麗とはいえないし単4乾電池4本はみるみる消耗するのでエネループは必須です。












PTDC0001

おお!見えました。これがそのフラップ。
ベロみたいに伸びたフラップの根部に針金が通してありますね。












PTDC0003

その針金を追っていくと














PTDC0029

おお!何やら巻きバネのようなものが!














PTDC0030

うーん、まさしく巻きバネです。
こんな小さなスペースに巻きバネが!














PTDC0033

このバネがフラップを首軸の天井に押し付けて機密性を保っていたんですね。
僕のキャップレスはひょっとすると漏れて乾燥したインクが巻きバネの可動性を制限していたのかもしれませんね。














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まあしばらくこれで様子をみることにしましょう。
キャップレス君現役復帰です。










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